県議会一般質問

平成15年11月定例会

質問:馬場せいし

 皆さんおはようございます。
 熊本市選出・自由民主党の馬場でございます。本日は質問の機会を与えていただきました皆様方に対しまして心から感謝を申し上げ、質問に入らせていただきたいと思います。
 昨日は、我が党の児玉県議の方から、知事の再選への質問がございまして、また、知事からは、その再選への表明、そして、各党の代表の方々からいろいろな知事の姿勢に対しての質問が相次ぎ、大変興味深い質問であったと思います。
 きょうから通常の質問に入るわけでありますけれども、一つ一つの問題は重大な問題であるというふうに認識しておりますので、どうぞおつき合いいただきたいというふうに思います。
 まず、県の財政健全化計画の進捗状況についてお尋ねをいたします。
 知事は、平成十三年二月、実質的に知事の最初の予算となる平成十三年度当初予算の発表と同時に熊本県財政健全化計画を発表され、平成十二年度末の基金残高が五十六億円と見込まれる一方で、毎年度三百億円を超える財源不足額が見込まれるという危機的な状況にあった県財政の健全化に取り組む姿勢を明らかにされました。
 財政健全化計画では、平成十三年度から十七年度までを財政健全化期間として、期間中に財源不足を解消すること、基金残高をふやすこと、県債残高がふえない財政体質をつくることなどを基本方針として財政健全化に取り組むこととされており、これまで県庁挙げて健全化計画に沿った取り組みがなされてきました。
 その結果、平成十五年度当初予算での通常の県債の発行額を、財政健全化債を加えても七百五十八億円と、平成十三年度当初予算の九百三十八億円に比べ百三十億円減らし、年度末の基金残高も百二十九億円が見込まれるなど、財政悪化に一定の歯どめをかけられたことについては評価をいたしておるところであります。しかし、健全化期間内に財源不足を解消するという最大の目標については、平成十五年度当初予算編成時の財源不足額が、当初の見通しの九十億円から百九十一億円に拡大しており、財源不足が解消するであろうと見込んでいた平成十八年度においても十九億円の財源不足が生じると見込まれています。また、基金残高についても、現在のペースでは、健全化期間内に目標の二百億円を達成することは困難な状況にあると思われます。
 そこで、現在の財政健全化計画の進捗状況をどのように認識されているかについて、総務部長にお尋ねします。

質問:古田勝人 総務部長

 財政健全化計画の進捗状況についてのお尋ねでございます。
 御質問の中にもありましたように、緊急集中取り組み期間におきます歳入歳出の量的目標の達成や県債残高の累増傾向の改善、また財政調整用の四基金の残高増額など、県が独自に取り組むことができます事柄についてはおおむね成果を上げつつあると、そのように考えております。
 しかしながら、計画期間内での財源不足額の解消につきましては、景気の回復が計画策定時の見込みよりおくれ、地方税や地方交付税などの歳入の増加が見込めないことから、計画期間終了後の平成十八年度におきましても、なお財源不足が生じる見通しでございます。極めて厳しい状況と認識しております。
 また、財政調整用の四基金の増額につきましても、財政健全化計画時点の見込みに比べ七十三億円増加しておりますものの、まだ百二十九億円にとどまっており、目標の約二百億円までには達していない状況にございます。
 このように、まだ道半ばの状況と認識しております。今後とも引き続き財政の健全化に取り組まなければならないと、そのように考えております。

質問:馬場せいし

 続いて、三位一体の改革への対応についてお尋ねをいたします。
 本年六月に閣議決定された経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三において、国庫補助負担金、地方交付税、税源配分のあり方などを一体的に改革するいわゆる三位一体の改革を、平成十六年度予算から着実に進めることとされました。
 その中で、国庫補助負担金については、平成十六年度からの三年間で、おおむね四兆円程度をめどに廃止、縮減する一方、引き続き地方が実施する必要があるものについては税源移譲することとされています。しかし、税源移譲に当たっては、その八割程度を目安として移譲するとされ、義務的な事業についても全額を移譲するとしながらも、徹底した効率化を図った上でとされており、廃止、縮減された補助金の額より移譲される税額の方が少なくなるという、本県を初め地方にとって厳しい内容となっております。
 新聞報道によれば、小泉首相は、平成十六年度当初予算編成に当たり、一兆円の補助金の廃止、縮減を目指すよう指示したとも伝えられておりますし、本日の朝刊にも幾分か載っておったと思います。今回の改革によって、本県財政にどのような影響が生じると考えておられるか、お尋ねをいたします。
 また、廃止、縮減された補助金の額に比べ、移譲される税額の方が少なかった場合、地方交付税である程度対応されるとしても、歳入が減少し、財源不足が拡大することが予想されます。
 その場合、さらなる歳出削減を図る必要が生じますが、どのように対応されるおつもりなのか、総務部長にお尋ねします。

質問:古田勝人 総務部長

 まず、三位一体改革の影響についてでございますが、去る六月に閣議決定されました経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三に基づき、各府省庁において、三位一体改革の具体的な内容の検討が進められてきたところでございます。
 また、先月二十二日には、小泉総理が関係省庁に対し、平成十六年度に国から地方への補助金一兆円を削減すると指示をされ、二十八日には、関係省庁から具体的な削減案が示されております。
 今後、各省庁削減案の最終的な取り扱いや税源移譲の規模、税源移譲される具体的な税目、また地方交付税総額の抑制の内容、規模などの点について、これから年末に向けました平成十六年度政府予算案の編成過程で明らかになっていくものと考えております。このため、現時点で本県財政への具体的かつ詳細な影響を見積もることは困難でございますけれども、いずれにしても、今後の財政運営が一層厳しくなることはある程度覚悟せざるを得ないと考えております。
 なお、この改革が単なる国から地方への財政負担の転嫁とならないよう、一つは、国庫補助負担金の廃止、縮減に見合う税源移譲を地方消費税や個人住民税の充実によりきちんと行うこと、二つには、地域間の税源偏在によります財政力格差について、地方交付税制度により適切な是正策を講じること、特にこの二点について、これまでも機会あるごとに国に要望をしてきておりますが、引き続き強く国にこの点を求めてまいりたいと考えております。
 次に、三位一体改革に伴います財源不足が拡大する場合の対応についてでございますが、県内景気が依然として厳しい状況にあることを考慮すれば、急速な県税収入の増加を期待することは難しいと考えております。そのため、現在取り組みを進めております財政健全化計画や行政システム改革プランを踏まえ、事務事業全般にわたる見直しや再構築などをさらに徹底していく必要があると考えております。
 その際には、県内経済の活性化や社会基盤の整備を初め、県民生活の向上にとって真に必要な施策、事業について重点化を図りますとともに、将来の歳入増につながる税源の涵養にも留意してまいりたいと考えております。

質問:馬場せいし

 一つ目の質問で、財政健全化も本当に頑張っておられますけれども、大変厳しい状況ということで、また、今の答弁によると、財源の方もだんだん厳しくなってくるというようなお話でありますが、次に、投資的経費についてお尋ねをしたいと思います。
 財政健全化計画では、県の投資的経費について、高水準の投資を続けてきたことなどが財源不足額の増大と財政硬直化を招いた要因の一つであるとして、おおむね景気対策による大幅な公共投資が行われていた以前の水準をめどに、公共投資の事業量を抑制することを目指すとされており、これまで計画に沿って、その計画を十分に達成しながら投資的経費の抑制が行われてきております。
 この結果、本県の投資的経費は、健全化計画策定前の平成十二年度当初予算の二千五百十六億円から、平成十五年度当初予算では一千八百七十二億円まで抑制され、平成二年度の二千百十三億円を下回る水準となっています。
 今後の県財政を考えますと、さらに状況は悪化すると思われますが、その場合、引き続き投資的経費を削減しながら財源不足を補っていこうとされるのか、公共投資についてどのように認識されているのか、知事にお尋ねをいたします。

質問:潮谷義子 知事

 投資的経費についての考え方ですが、財政健全化計画に基づき、平成十三年度から十五年度までの緊急集中取り組み期間内におきまして、おおむね景気対策としての大幅な公共投資が始まる以前の水準まで事業量を抑制することを目指して削減を図ってきたところでございます。現時点で、この目標については達成しております。
 また、これは、国の経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三、ここに示されました地方単独事業を今後三年間で平成二年度から三年度の水準を目安に抑制する、この目標を先取りしたものとなっていたと申し上げてよろしいかと思います。
 このような状況及び大都市圏に比べておくれている社会資本整備の計画的、継続的な整備の必要性や、県内経済が公共投資に依存する度合いが高い現状を踏まえて、平成十六年度予算編成に当たりましては、県単独の投資的経費について、平成十五年度当初予算と同規模程度となることを目途に編成する方針としています。
 今後、景気の動向や三位一体の改革、国の平成十六年度当初予算編成の動向等に留意しながら、さらに事業の優先度の峻別、徹底した重点化と効率化に努めますとともに、産業の振興や雇用の創出を初め、県内経済の活性化に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

質問:馬場せいし

 ありがとうございました。
 先ほど質問の中で示したような投資的経費の削減に対応するために、最近公共投資依存型からの脱却が急務であるというふうに言われております。
 今、知事のお答えでは、やっぱりきちんとやらなきゃいかぬことはやるというようなお話であったけれども、最初の二つの質問からすると、それがなかなか難しいというような結論、これは、これまで知事会も政府に対して相当要望していただいておるようでありますし、地方としては、国との、そういった綱引きというものを最後まで頑張っていただかなきゃいかぬところでありますけれども、ただ、今後必ずその闘いに勝てるというような状況かというのは大変厳しいなというふうに思っております。その場合にどうなるのかということが、私たちにとっては本当に大事なことでもあります。
 ですから、少しお話をさせていただきたいと思いますけれども、公共投資依存型から脱却しなきゃいかぬというのが今の風潮でありますし、またそのとおりかもしれません。しかし、産業構造の転換ができるまでの準備は今整っているかということであります。
 大規模事業所などは、便利がよく情報の集まる福岡ヘ次々に本社移転を行い、また今後も移転しようという空気が高まっている状況にあります。雇用を拡大しなければならないと言っているときに、逆に厳しさは増してきておりますし、今その歯どめをかける施策も十分でないことは明白であります。
 民間経済を主体にしたいという考えがあるとすれば、それこそ数少ないチャンスに最大の力を振り絞って当たらなければならないわけであります。阪神デパートの立ち上げなどでの県の尽力に対しては、本当に心から敬意を表するものでありますけれども、県の影響力が薄まる熊本市の政令市問題などは、そのまま見過ごされたと、県は微動だにせぬだったというようなことも、私の気持ちの中には少しあるわけでありますし、民間経済移行へのチャンスを見送る県の姿を見ながら、私は、県は公共事業依存型で最後まで県経済の面倒を見る気でいるんだなというような思いでありました。
 県の財政健全化計画を実行するに当たって、当初、県民に対し五年間辛抱してくださいと言ってまいりました。その後は何とかなるとは言わなかったかもしれませんが、聞いた側の県民の皆さんの意識の中では、辛抱してくださいという言葉の後には、あとは大丈夫だからという言葉が続いているのであります。
 ところが、五年たって、皆さんには予定どおり辛抱していただきましたが、税収が伸びないので仕方ないですな、さらに、三位一体でまた歳入が減ったので、また辛抱してもらわぬと困っとですたいというような話では、県民側からすればとんでもない仰天の話でありまして、逆の立場になったらということをしっかりと考えていかなきゃいかぬなというふうに思っております。
 九州新幹線の全線開通までに行うべき基盤整備など、県としてのポテンシャルを引き上げるため必要な投資も山積していますが、今後、大幅な財源不足が生じてくれば、公共投資についてもさらなる見直しの議論が出る可能性があります。そうなれば、県民にこれまで以上の我慢を強いることになり、簡単に理解が得られるとは思えません。
 そこで、人件費についてお尋ねをいたします。
 本年度当初予算に二千三百七十二億円の人件費が計上されております。予算総額の約三割を占める最大の経費であります。
 県においては、平成十三年度から二年間、全職員の給料二%削減を実施したほか、職員数を毎年削減しており、人件費削減に対し精いっぱい取り組んでおられることは認識しておりますが、県民にさらなる我慢を強いるような状況になるのであれば、人件費についても何らかの削減努力が必要であると考えます。
 今議会の開会日には、県職員の給与を平均一・一%引き下げる条例案が審議、可決されたばかりで、さらに追い打ちをかけるのかという声も聞こえてきそうでありますが、人事院勧告に基づく給与引き下げでは、県財政へのプラスの影響はほとんど生じないと聞いております。
 また、その条例案審議の際に、共産党の松岡議員から指摘がありましたように、公務員の給与の引き下げが民間の賃金引き下げの誘因となって悪循環を招き、民間企業で働く労働者とその家族にも広く被害を及ぼすことになるという懸念があることは、十分理解をしておるところであります。
 しかし、これらを承知の上でも、なお財政健全化は思うように進まず、三位一体の改革でさらに歳入が減るというような厳しい状況の中で、なおかつ事業費が極端に削られてきた今日においては、人件費の削減についても聖域を設けずに考えていかなければならないと私は考えております。
 以上、お話ししてきたような状況を踏まえ、今後さらなる財源不足が予想される中で、人件費の取り扱いについて知事の考え方をお尋ねします。

質問:潮谷義子 知事

 ただいま馬場議員が、県の財政状況について強い危機感を持たれ、今後の情勢も見越した上での御提言をいただいたと、そのように受けとめております。県職員すべてが危機感を共有し、緊張感を持って県政を遂行していかなければならない、こういったことを改めて強く感じさせられたところです。
 人件費につきましては、本年度の歳出予算の中でも約三〇%、大変大きなウエートを占めておりまして、財政運営の健全化という観点から、人件費のあり方についても常に議論していくことが必要であると、そのように認識をしております。
 県といたしましても、これまでもそのような考え方に立って、職員の給与制度や給与水準のあり方については、人事委員会勧告制度を前提に、民間の賃金や国及び他県の給与の状況と均衡を失することのないように、適正な執行に努めてきたところでございます。
 また、職員数につきましても、行政に対するニーズに的確に対応し、効率的な行政体制を構築することにより、その総数の抑制に努めてきたところです。
 ちなみに、知事部局にありましては、近年、環境や福祉の分野を初め、新たな行政ニーズが次々と生ずる中にありながらも、行政改革を着実に進めてきたことによりまして、最近三カ年で百五十人を削減してまいりました。
 しかしながら、依然として厳しい財政状況が続く中で、公務員の給与のあり方について、各方面からさまざまな意見が出されていることは承知をしております。
 国においては、勤務実績、職務能力をより重視した給与体系への転換や、民間における給与の地域差に対応できるような地域における公務員給与のあり方等についても議論がなされております。
 熊本県におきましても、こういった公務員制度の見直しの動きや三位一体の改革の動向等を踏まえた上で、引き続き行財政改革の推進に取り組んでまいります。

質問:馬場せいし

 解釈として、これまでよりも柔軟にというか、それをしっかりと受けとめていただいておるというふうな思いはあります。ただ、少しだけちょっとお話をさせていただきたいと思いますが、職員の皆様方にもいろんな考え方があると思いますし、収入に関しての問題は、即生活にかかわってくることでありますから、だれもが手をつけたくないことかもしれません。一%や二%カットでも大問題であると思います。
 ただ、公務員の一人一人の皆様にしっかりと理解をしていただきたいというふうな思いがありますのは、人事院勧告による一・一%カットが行われることになりましたが、私が申し上げるまでもなく、人事院勧告というものは、給料の官民格差を是正するものとして大切なものであり、かつ尊重しなければならないものであると思います。しかし、地方においては、今もお話が出たかもしれませんが、必ずしも中央で言う官民格差というものとは違う実態があるのではないでしょうか。
 しかも、民間においてボーナスなどは既に十年以上前か削減され、現在、公務員の皆さん並みにもらっている会社は、かなり少ないのではないかというふうに思います。いや、自分たちより高いところがあると言われる方もあるでしょう。しかし、その会社は黒字会社なのであります。しかも終身雇用という神話はなくなりつつあるのであります。
 また、退職金や恩給の話までここでする必要もないと思いますし、週休の完全二日や祭日、有休などの話も詳しくは申しません。カット幅の一%や二%と申し上げますと、簡単に二%ぐらいと言うなと言われますけれども、二%で十数万もカットされるというような理屈は、民間人にとっては逆の意味でびっくりされることであります。三役や管理職は、より重荷を背負うべきだとの考え方も当然かと思いますが、三役や管理職手当などを削減しても、そこで節減できるのは五億か六億ぐらいの金額なのであります。
 今の財政状況は、一人一人に至るまでよく御承知だと思いますけれども、これに三位一体のあおりがまともに来るならば、百億単位あるいは三百億、四百億というような単位で財源への影響が出ると考えられます。みんなで受けとめなければ決して受けとめることはできないと思います。ましてや財政の健全化など、大変むなしくなってくるわけであります。
 もうここでは、その罪はだれにあるのかというような議論よりも、いかに立て直し、県経済を活気づけるか、そして将来のためにせざるを得ない投資を速やかに行うかということを、公務員の一人一人が考えていかなければならないと思っております。
 県行政にかかわる職員さんは二万四千人、夏、冬の期末手当の総額は何と四百八十億円にも上ります。自主的に削減すれば、約七五%は財源として残ると私は聞いております。投資をしなければならない分野に回すことができるなら、職員の皆さんの仕事にも活気が出でくるのではないでしょうか。わずか百二十九億円しかない基金を積み増すこともできます。何年も続けなくても十分に効果が出てくるのではないでしょうか。もしおくれて人事院勧告や国の方針に従ってやむを得ずカットをしていくというようなことになるならば、削減のみで、それは財源としては残らないわけであります。
 しかし、ここで決して自分たちだけが不幸であるというような考え方はしないでいただきたいというふうに思います。それは世間を見ていただければ理解していただけるものだというふうに思っております。
 熊本県と県経済を支える誇りを持って対処していただくことを切に願い、昨日、知事選出馬を表明されました潮谷知事にも、しっかりと検討していただくことを提案させていただきながら、次の質問に入らせていただきます。
 次に、観光振興における熊本、鹿児島、宮崎三県の連携についてお尋ねいたします。
 九州新幹線の新八代―鹿児島中央間開業を来年三月十三日に控え、八代市や水俣市では、駅舎及び駅周辺の整備が進み、観光客を意識した名物料理や土産品の開発が話題となる一方、熊本市内でも、バスやタクシーに張られた新幹線開業のステッカーを見かける機会が多くなってきました。また、新八代駅と熊本空港を結ぶバスの路線開設も決定されるなど、いよいよ開業を迎えるという機運の盛り上がりが、やっと熊本県内各地で形になってあらわれてきたようであります。
 鹿児島県では、新幹線の開業に合わせて大がかりな記念行事を実施するということで、昨年から実行委員会を立ち上げ、民間、行政、議会が一体となって、さまざまなイベントの準備が進んでいるようですし、宮崎県では、沿線地域ではないけれども、新幹線開業の効果を観光客誘致に生かしていこうと、積極的なセールス活動を行っていると聞いております。
 開業までの時間は残り少なくなってきていますが、このような近県の動きにおくれをとらないよう、熊本県においても県内全域で機運を盛り上げていくよう、頑張っていただきたいと思います。
 さて、観光産業が二十一世紀の主要産業の一つであるということは、最近では聞きなれた印象がありますが、国の施策の中でも、海外からの観光客誘致のため、大がかりなキャンペーンが実施されたり、県内では、経済界から観光振興に関する提言が出されるなど、観光をめぐる動きは非常に活発になっており、潮谷知事も常日ごろ、観光に力を入れていく旨の発言をされ、みずから積極的に国内、国外で熊本のPRを行っておられるところでありますが、あらゆる機会を逃さず、観光客の誘致に一層力を入れていくことが、県経済の活性化を図る上での喫緊の課題であると改めて感じているところであります。
 県議会としては、熊本の観光振興を図るための後押しをしていこうということで、平成十二年に県議会観光振興議員連盟を結成し、超党派での活動を行っております。熊本県を対象とした活動にとどまらず、県境を越えた広い視野に立ち、隣接する県とも観光振興のために力を合わせていこうという趣旨で、去る十一月十七日、熊本市において、知事にも御出席をいただき、志を同じくする鹿児島、宮崎両県の観光振興議員連盟とともに、南九州観光振興会議を開催いたしました。ちなみに村上寅美会長でございます。
 この南九州観光振興会議では、九州新幹線の開業やアシアナ航空の新規航空路の開設など、観光を取り巻く情勢の変化を踏まえ、広域的な観点から観光客の誘致をどのように進めていくか、また、そのためにお互いどのように協力していくか、熱心な議論が行われ、今後三県の観光業界及び行政が一致協力して、観光客誘致対策の充実強化に努めていこうという決議を採択するなど、有意義な成果を見たところであります。
 このような動きと連動する形で、民間の事業者においても、JR九州が南九州観光調査開発委員会を発足させ、南九州三県に観光客を呼び込むための戦略を検討し、新幹線開業後の重点PR地域や新しい列車の運行計画を発表するなど、南九州を売り出す具体的な動きが始まっています。
 そこで、九州新幹線の開業など、本県の高速交通体系が大きく変化しつつある中で、県としては、鹿児島、宮崎両県とどのように連携し、国内外から観光客誘致を促進していこうと考えておられるのか、商工観光労働部長の所見をお尋ねいたします。

質問:片岡楯夫 商工観光労働部長

 観光振興における南九州三県の連携については、平成九年、九州縦貫自動車道の全線開通を契機に、熊本、鹿児島、宮崎の三県で南九州広域観光ルート連絡協議会を組織し、共同で観光客誘致活動を行ってきたところでございます。
 これまでの活動状況は、広域観光ルートのマップ作成や旅行会社の商品企画担当者等を対象とした現地視察が中心で、観光客の誘致につながる旅行商品数をふやすという点では、十分な成果を上げたとは言えないというふうに考えております。
 しかしながら、南九州三県では、九州新幹線の開業や韓国、中国との定期航空路の開設等、高速交通体系の整備が進みつつあり、時間短縮の効果を生かした新しい広域観光ルートを開発し、相互に観光客を大きくふやしていこうという機運が高まってきております。
 このような状況を踏まえ、南九州広域観光ルート連絡協議会では、今年度、宿泊を伴う国内旅行商品の企画、販売支援や中国上海を対象としたモデルツアーの募集等により、国内外からの観光客の誘致を図っているところでございます。
 今後は、南九州三県の観光議員連盟による南九州観光振興会議やJR九州などの民間企業とも連携を図りながら、鹿児島県、宮崎県両県と広域的なPRを行うなど、三県の連携を一層強化しながら、国内、海外からの観光客誘致を推進してまいりたいというふうに考えております。

質問:馬場せいし

 ありがとうございました。
 いろんな商品開発も進んでおるというふうに思いますが、議員連盟の方でも、新幹線が開通したら、一回はそれに乗って鹿児島とか宮崎とか行くことができればなというふうに思っておりますし、また、この会議の後話でありましたけれども、例えば、鹿児島からはVの字に熊本、宮崎とつながっておるということでありますが、熊本と宮崎がなかなかつなぎが――ゆっくり旅をするというような観点からいくとすばらしい旅行ができるだろうということでありますけれども、直接つなぐことも考えてみてはどうかというような話の中で、天草エアラインを宮崎に飛ばしてはどうかというような話も出ておりましたので、紹介をさせていただいておきます。
 次に、ハンセン病元患者に対する宿泊拒否についてお尋ねをいたします。
 今般、県が行っているふるさと訪問事業において、ハンセン病元患者の方々が、アイレディース宮殿黒川温泉ホテルから宿泊を拒否されるという大変残念な出来事が起きました。
 ハンセン病については、熊本県は非常にゆかりの深い地域であります。特に、ハンセン病の歴史を大きく変えるきっかけとなりましたハンセン病国家賠償請求訴訟の原告勝訴判決は、熊本地方裁判所において平成十三年五月十一日に出されました。
 これを受けて、県議会においても、平成十三年六月、ハンセン病問題に関する決議を行い、ハンセン病問題の早期かつ全面的解決のため、患者、元患者の方々の名誉回復、ハンセン病に対する差別、偏見の解消を図り、患者、元患者の方々あるいは亡くなった方々が、それぞれ故郷に受け入れられるよう、一層の努力をすることを決意したところであります。
 この判決や県議会の決議から二年半が経過する中で、国や県では、ハンセン病の正しい理解に向けた啓発等に随分と力を入れてきたと思います。しかしながら、九十年にも及ぶ長い隔離政策によって植えつけられた誤った知識による偏見や差別は、短い期間では簡単に払拭できないことを、今回改めて認識させられました。
 また、県や恵楓園の自治会などに対して、ホテル側の対応を容認するような意見が寄せられているといった話を聞きますと、今回の出来事は、国や県における普及活動のこれまでの取り組みに大いに警鐘を鳴らしたものと考えます。普及啓発活動に関して、県としても反省すべきところがあれば、この際きちんと反省し、見直すべきところは見直していくべきであろうと強く感じております。
 そこで、ハンセン病問題の啓発に係る今後の取り組みについて、健康福祉部長にお尋ねをいたします。
 なお、この件に関して、昨日、大きな動きがありました。ホテルを経営する株式会社アイスターの社長が来熊して、記者会見を行った後、恵楓園に行って謝罪し、自治会でもこの謝罪を受け入れたということであります。ここまでに至ったことは、国、県がこれまで厳しい姿勢で取り組んできた結果ではないかと考えております。
 しかしながら、社のホームページに、記者会見の内容として「恵楓園入所の方々の人権問題と宿泊拒否問題に関しては別々の問題」である、また、宿泊拒否問題に関しては「ホテル業として当然の判断であった」「予約から二ヶ月近くの間、ひた隠しにしていた県側に責任がある」などの記載があります。
 これに対して、県として、きちんと県の考え方を明らかにしておくべきと考えますので、あわせて、この件に関しても健康福祉部長にお尋ねします。

質問:中村義彦 健康福祉部長

 県が実施しますふるさと訪問事業に当たり、ハンセン病元患者の方々がアイレディース宮殿黒川温泉ホテルから宿泊を拒否されるという事態が発生しましたことを受け、県では、ホテルを経営する東京の株式会社アイスターに出向くなど、再三にわたってハンセン病に対する理解を求め、説得を行いましたが、ホテルの宿泊拒否の方針は撤回されませんでした。
 このことは、ハンセン病に対する偏見と差別に基づいたものとしか考えられず、人権侵害として極めて遺憾なことであると考えます。
 本県としては、このような事実を見過ごすことができないとして、十一月十八日に、熊本地方法務局へ通報するとともに、その事実を公表したところであります。
 県では、これまでハンセン病問題を初めさまざまな人権問題の啓発に取り組んできたところでありますが、ハンセン病国家賠償請求訴訟に係る判決が出された熊本の地でこのような事態が起きたことは、ハンセン病に対するいわれのない偏見や差別が今なお根深く残っているということを改めて認識させられたところであります。
 今回の件は、国民や県民のハンセン病に対する正しい理解がまだまだ十分浸透していなかったことのあらわれであり、県としても、この点を率直に反省し、このような人権侵害が二度と起こらないように、ハンセン病への偏見や差別の解消のため、これまでの取り組みをいま一度検証し、市町村や関係団体との連携のもと、より一層の普及啓発に努めてまいりたいと考えます。
 あわせて、アイスターのホームページに関しまして、三点についてお答え申し上げます。
 第一に「恵楓園入所の方々の人権問題と宿泊拒否問題に関しては別々の問題」であると考えるという点につきましては、今回の問題は、ハンセン病元患者であることを理由に宿泊拒否が行われており、この宿泊拒否そのものがまさに重大な人権侵害に当たると考えます。
 第二に、今回の宿泊拒否は「恵楓園入所の方々であると知ったのは直前であり、ホテルの認識不足もあって、他のお客様との調整を取る時間がなかった」ということを理由に「ホテル業として当然の判断であった」という点については、旅館業法第五条にあるように、伝染性の疾病にかかっていると明らかに認められる場合などを除いて、宿泊を拒否することができない旨規定されております。今回の場合は、ハンセン病元患者を理由に宿泊を拒否したものであり、この旅館業法に違反していると考えられたので、熊本地方法務局と連携の上、告発状を提出したものであります。
 第三に「予約から二ヶ月近くの間、ひた隠しにしていた県側に責任がある」という点につきましては、今回宿泊予定の方々はハンセン病は完治しており、ことさら予約時に恵楓園の方々であると話す必要はないと考えておりますが、恵楓園の方々が宿泊するということは、一連の予約行為の中でホテル側に伝えているところであり、県がひた隠しにしていたという事実は全くございません。説明が必要だと考える発想事態が偏見に基づいていると考えます。
 このように、アイスターのホームページにおける主張はいずれも理由がないと考えますが、旅館業法による適切な指導とあわせ、今後とも十分な説明を行い、正しい認識が得られるよう努力してまいりたいと考えます。

質問:馬場せいし

 部長も大変、まあ何と返答しようもないというような部分もあるのだろうというふうに思いますが、今回の件については、やはり県が間に入っての事業であります。ですから、結果的にこういうトラブルが起きてしまったということは大変残念なことであります。そういった意味では、今後しっかりと対応していただくようにお願いを申し上げておきます。
 折しも、本日十二月二日から十四日まで、熊本のハンセン病関係資料展というのが、鹿央町の県立装飾古墳館で開催されております。ハンセン病に対する正しい知識を理解していただく機会でありますので、県民の皆さんにはぜひ一度足を運んでいただきますように、また役所としても対応していただきたいと、啓発していただきたいというふうに思います。
 最後に、トマト黄化葉巻病対策についてお尋ねします。
 このトマトの病気については、本県では、平成十一年に侵入後、県下に拡大し、本年は熊本、宇城、八代地域を中心に、トマト産地に大きな被害をもたらしました。
 特に、本県で発生しているものは症状が重くなるタイプということで、本年は早い時期から、生産者はもちろん行政や農業団体などが一体となって、薬剤防除や被害株の抜き取り、さらには防虫ネット等による侵入防止など、必死の防除対策を進めてこられましたが、ようやく小康状態になったと言われております。
 農家は日々苦労しながら、あらゆる防除対策に努力をしておられますが、完全な撲滅に至っていないのが現状であります。
 熊本市においても、トマトに大きな被害を受け、特に全滅に近い被害を受けた農家では、経営が続けられない農家も出てくるのではないかと心配しております。また、キュウリなどの他作物へ転換する農家もかなりいると聞いております。
 この病気への対策として、冒頭の議案説明の中で、知事から、農業団体や市町村と連携しながら、地域レベルの防除体制を組織し、徹底防除を図るとともに、被害農家の経営再建の支援に努めると説明がなされました。
 対策の実施に当たっては、行政や農業団体の農業関係者はもちろん、一戸一戸の農家まで十分な周知を図り、撲滅に至るよう徹底した防除対策を進めることが重要であります。
 そこで、その具体的取り組みについて、農政部長にお尋ねします。

質問:和田秀雄 農政部長

 トマト黄化葉巻病につきましては、県としても、これまで各種施策を実施するとともに、トマト産地においても、個々の農家の防除対策に加えて、市町村や農業団体等と緊密に連携しながら、地域全体での徹底防除に取り組んできたところであります。しかし、一部の地域や農家では多大な被害をこうむっております。
 県としては、このことを重く受けとめ、このウイルス病の撲滅に向けて、市町村、農業団体等の関係機関から成る緊急病害虫防除対策会議を設置し、意識の統一を図りながら、黄化葉巻病の対策を全県的に展開してまいることにしております。
 具体的には、十二月にトマト黄化葉巻病防除指針を策定するとともに、ウイルスの媒介虫が冬場の低温下では越冬できないことを好機ととらえ、十二月下旬から二月中旬を防除運動月間に定め、ハウス内に生息する害虫の一斉防除や被害株の除去等により、今後の蔓延防止を図ってまいりたいと考えております。なお、防除の実施に当たっては、感染源の根絶が極めて重要であることから、各地区ごとに農家代表と関係機関から成る防除班を編成し、ハウス栽培農家における防除の徹底が図られるよう進めてまいりたいと考えております。
 また、被害を受けて大幅な減収となったトマト農家に対しては、経営再建や減収補てんのための融資制度を創設し、十二月中の資金貸し付けができるよう取り組んでまいります。
 さらに、先般、国に対しては、防除が難しい病害虫のための対策事業の創設、新たな防除技術の確立、また検疫体制のさらなる強化等を緊急に要望したところであります。
 今後とも、トマト黄化葉巻病を初め、甚大な被害が予測される海外からの侵入病害虫に対しては、産地と一体となり迅速な防除対応が図られるよう努めてまいります。

質問:馬場せいし

 ありがとうございました。しっかりと対応していただくようにお願いを申し上げておきます。
 これまで議会の中でも話が出てまいりましたけれども、少しでも残っておれば、また来年は大量発生するということになりますし、第一、ことしは大変な暖冬だというようなことであれば、なおさらのことであります。来年はことしのようなことが起きないように取り組みをお願いして、一通り質問を終わらせていただいたところであります。
 まあ、いろいろここで何かお話したいところもありますけれども、今回に関しては、来年の知事選というようなこともありましたので、たくさんの注文といいますか、お願いをしたいというふうな思いでありました。しかし、知事、一生懸命頑張っておられるということで、今後もこの四年間に加えて、しっかりと頑張っていただきますことだけお話申し上げさせていただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。
 本当に御清聴ありがとうございました。

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