県議会一般質問

平成21年9月定例会

あいさつ:馬場せいし

 皆さんおはようございます。熊本市選出・自由民主党の馬場でございます。本日は自由民主党を代表して質問をさせていただきます。代表質問ということで項目が多くなっておりますので、早速入らせていただきます。
 天皇陛下は、本年1月7日で御在位満20年をお迎えになられました。心よりお喜びを申し上げさせていただきたいと存じます。
 これまで、天皇、皇后両陛下は、常に多くの国民と触れ合うことを希望され、全国各地で行われる大会や式典などに数多く御臨席を賜り、大勢の国民の歓迎におこたえになってこられました。
 また、大きな災害が発生した際には、現地に赴かれ、犠牲者を悼み、被災者を慰め、復興活動に携わる人々をねぎらわれました。
 本県におきましては、10年前に、くまもと未来国体の際にお出ましをいただきました。御多忙なスケジュールの中、県内の福祉施設や文化施設を御訪問いただき、多くの県民の歓迎に親しくおこたえをいただきました。本日議場においでになられた皆さん方の中にも、沿道などで両陛下をお迎えされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。私も、両陛下の慈しみ、包み込むような優しいお姿を拝見することができましたが、そのときの感動は今でも鮮明に残っております。
 平成に入ってからの時代を振り返りますと、社会の大きな転換期とも呼べる激動の時代ではなかったかと思います。
 こうした中、天皇、皇后両陛下は、常に国民と苦楽をともにされ、国民の幸せと世界の平和を強く願ってこられました。親しく国民の中に入られる両陛下のお姿とお言葉により、どれほど多くの国民が励まされ、勇気づけられたことでしょうか。
 国民とともに歩んでこられました御在位20年という節目の年を迎えることができ、私は、県民の皆さんとともに、心から喜び、お祝いを申し上げたい気持ちでいっぱいであります。
 さて、国におきましては、平成2年の即位の礼が行われました11月12日に合わせて、記念式典を挙行するのを初め、御在位20年のさまざまな慶祝行事が予定されております。御在位20年に対する国民の祝意の機運を盛り上げていく趣旨から、国を挙げて全国各地で御在位20年をお祝いするため、幅広い分野の方々により、さまざまな取り組みが進められているところと聞いております。
 本県におきましても、民間と行政が連携をし、この御在位20年への祝意の機運を盛り上げ、県民がこぞって祝意をあらわしていくことが大変大切だと考えております。
 そこで、御在位20年に対しての県内での取り組み状況や県の対応について、知事に伺います。
 また、ことしの11月12日については、御在位20年を記念し、国民こぞって祝うために、祝日とする法案が議員立法で国会に提出されました。衆議院の解散により一たんは廃案になりましたが、今後の国会において新たな動きの可能性もあると聞いております。実現の有無については現在のところ不明ですが、仮に実現すれば、祝日の意義について児童生徒にも伝えていただかなければならないと考えております。
 さて、内閣府は「天皇陛下 御即位から二十年」という記念映像をまとめたDVDを作成して、すべての小中高等学校に配布したと聞いております。各学校においても、多くの児童生徒の皆さんに、天皇陛下の20年の歩みをぜひ見てほしいと願っておりますが、教育委員会としてどのような取り組みを行っていかれるのか、教育長にお尋ねをいたします。

答弁:蒲島郁夫 知事

 まず、天皇陛下の御在位20年を心よりお喜び申し上げたいと思います。
 御在位20年を迎えての県内での取り組み状況につきましては、民間や行政など幅広い分野の方々により、天皇陛下御即位20年熊本県奉祝委員会が結成され、11月12日には、奉祝式典が開催されます。また、市町村役場など県内各地で、御在位20年の御足跡を紹介するパネル展といった行事が進められております。
 私自身も、同委員会の名誉顧問に就任し、県としての奉祝式典の後援や県庁でのパネル展の実施などに取り組んでおります。
 さらに、県民の皆様が祝意をあらわせるよう、県庁内に記帳所を設置するとともに、広報紙やホームページで県民の皆さんへの周知を行い、広く祝意の機運を盛り上げてまいります。
 御在位20年を県民の皆様とともにお祝いし、両陛下の一層の御健勝と皇室の御繁栄をお祈り申し上げたいと思います。

答弁:山本隆生 教育長

 内閣府作成のDVDにつきましては、文部科学省から、それぞれの小中高等学校を管轄する各教育委員会に、今月4日付で直接送付されており、県立学校分につきましては、直ちに9月8日付で各学校に送付いたしております。
 天皇陛下御在位20年につきましては、内閣府から、国民こぞってお祝いするとの意向が示されており、その一環として今回のDVD配布になったものと理解いたしております。
 そのため、各県立学校におきましては、その趣旨を児童生徒たちに伝えますとともに、DVDにつきましては、できるだけ多くの皆さんが自由に見ることができるよう、図書館等に配置するなどの工夫をするよう、県立学校長会等を通して伝えることといたしております。
 また、各小中学校に対しましても、教育事務所を通して、県立学校と同様の取り組みをお願いいたしたいと考えているところでございます。

質問:馬場せいし

 今、国民が一致協力して立ち向かわなければならない課題が山積している中、御在位20年の慶祝ムードを盛り上げていくことは、国民、県民の一体感の醸成につながるものと期待しております。
 今図書館にということでありましたけれども、学校で生徒さんたちに見せていただきますような取り組みをしっかりとお願い申し上げさせていただきたいというふうに存じます。
 次の質問に入ります。
 今回の総選挙において我が自民党は大幅に議席を減らし、民主党中心の政権が誕生する結果となりました。
 まずは、総選挙において国民の支持を得られた民主党を中心とする連立政権に対して深く敬意を表させていただきたいと存じます。知事の言葉ではありませんが、国民の総幸福量の最大化に向けて頑張っていただきたいと存じます。
 我々自民党も、野党になったとはいえ、今回の選挙において、小選挙区での得票率は、民主党47.4%に対し、38.7%の支持をいただいていること、我が県においては、5選挙区中3選挙区で勝利したこと、また、選挙後のアンケートにおいても、自民党に立ち直ってほしいという国民の声が70%を超えるというような状況でありますので、今後もしっかりとこたえていかなければならないと感じております。
 一昨日の熊日朝刊には、鎌田代表代行が「マニフェストに沿った政策に、県や県議会が反対する理由はない」と言い切ったと掲載されておりますが、県民の代表たる熊本県議会をしょって立つ私ども自由民主党県議団としては、県政にしっかりと責任を持ち、今後民主党政権から発信されるさまざまな施策に対し、一つ一つ地方からの声を上げていきたいと、気持ちを新たにいたしております。
 さて、先ほども申し上げましたように、新しい政権には、しっかりやってもらわないと困りますが、選挙後の静けさから一転して、政権発足直後から、各大臣や民主党幹部の発言は、少々オーバーペースぎみといいますか、中にはフライングもあるのではないかと感じております。
 制度の問題にしろ国際問題にしろ、国民の混乱を招かぬよう、マニフェストに掲げていても、間違ったことがあれば、我を通さず認め、改める度量も持ち合わせていただきたいというふうに願いを込めて、少し話をさせていただきます。
 国民は、新たな民主党を中心とした政権に対して期待を抱く一方で、ガソリン税などの暫定税率の廃止、高速道路の無料化、子ども手当の創設、農業の戸別所得補償制度の導入などといった一見バラ色のような政策が並べられていることに対し、今の経済情勢の中で、その具体的効果や財源の確保について懸念や不安を持っているのも事実であります。特に高速道路の無料化については、30兆円を超える借金を国民につけ回すのか、25%削減を掲げている温暖化ガス削減との整合が図れるのかという極めて大きい問題があります。
 さらに、フェリーや地方バスなどの民間の公共交通が成り立たなくなったときにどういう手当てをされるのでしょうか。ほかにも、渋滞で長距離トラック等の荷物の到着がおくれたり、サービスエリアが混雑して運転手が仮眠できない状況になったり、さらに、県警本部長にお尋ねしようかと思っていたところでありますが、暴走族が入り込んで乱暴な運転をしたりすることも想定されますが、どう対処していくのかなど、いつからこんなに心配性になったのかと思うぐらいに心配をいたしております。
 また、子ども手当にしても、本当に子供のために使われるのかといった問題や、裕福な家庭にまでも支給することが国民負担の視点から妥当なのかといった根本的な問題をはらんでいます。
 高校の授業料無償化に対しては、支給方法に全国市長会から強い要望が出ていることは御存じのとおりで、場合によっては、市町村の仕事をふやし、行革にも逆行することになります。
 いずれにせよ、マニフェストの内容が国民、県民のためにどう具体化されていくのか、まずはお手並み拝見といきたいところですが、地方にとって多くの不安材料があり、余裕を持って見守ることはできません。
 特に、地方分権に関しては、ひもつき補助金を廃止し、地方の自主財源に転換、地域主権を確立し、地方の自主財源を大幅にふやすなど、聞こえのよいことがうたわれております。しかし一方では、ガソリン税などの暫定税率の廃止や公共事業1兆3,000億円の削減など、地方財政を直撃するような方針も掲げられております。
 地方が、財政の立て直しと地域経済の活性化に向けて、みずから身を削りながら取り組んでいる中で、必要な事業を行う財源が本当に確保できるのか、不安な要素も数多く見られます。
 また、前原国土交通大臣は、昨日八ッ場ダムの現地を視察、明後日には川辺川ダムの現地を視察し、地元との意見交換を行うとのことですが、ダムというだけで一くくりにして、国直轄のダムのみならず、都道府県が所管するダムなど、全国の143カ所についても見直す旨の発言があっております。
 しかしながら、本県のダムを例にとると、昭和28年の白川大水害以来、毎年洪水被害におびえながら暮らしている熊本市民を守るべき立野ダムや、渇水に苦しんでいる天草地域の住民の悲願である路木ダムなど、地域の状況によってその必要性、効果は全く異なります。さらには、地方が事業主体のダムについても国が一方的に見直しを行うなど、地方分権の観点からも問題があると言わざるを得ません。我々県議会としては、国に対して、地方の実情、県民のニーズを強く提言していかなければならないと考えているところであります。
 さて、私自身、今回の総選挙を戦う中で、厳しい経済環境に置かれている県民、地場企業の偽らざる気持ちとして、景気・雇用対策にもっと力を入れてくれといった声を行く先々で伺いました。今もこうした切なる声が耳から離れません。
 国の経済対策により、ことしの第2・四半期のGDPがプラスになるなど、全体としては大企業を中心に回復基調が見られますが、一方で、地方はまだまだ一息つけるかどうか不透明な状況にあるのが現実です。
 雇用情勢は、100年に1度の危機と言われる世界同時不況の影響で、製造業を中心とした非正規雇用者の雇いどめ等により、依然として悪化が続いております。
 県では、本年2月に、国の交付金を受け、ふるさと雇用再生特別基金61億7,000万円、緊急雇用創出基金25億円の2基金を造成し、これを活用して、今後3年間に延べ4,100人の雇用を創出することとされました。さらに、その後、基金の積み増しを行い、雇用創出数は延べ9,300人に拡充されております。
 しかしながら、このような対策を行ってもなお、本県の有効求人倍率は0.35倍と過去2番目に低い水準となっており、雇用情勢は極めて厳しい状況が続いていると認識しております。
 このような中、先日行われた時事通信社の世論調査においても、新政権が優先すべき政策として、景気対策が77.6%で最も多いという結果が出されております。
 そのような状況にもかかわらず、国民の生活が第一と掲げる民主党が、景気に冷や水を浴びせるような平成21年度補正予算の凍結を検討しています。先週金曜日の閣議において決定された補正予算見直しの基本方針においては、地方公共団体が造成する基金事業は一時留保の対象にはなっておりませんが、一方で、10月2日までにすべての事業について執行の是非を点検するとされており、今後の見直しはいまだ定かではありません。
 我が自民党県連は、執行部とともに、国の経済危機対策を最大限に活用し、熊本の景気の下支え、回復に必死に取り組んできました。それが、2月、6月、今回の9月補正であります。
 これらの補正予算が、地域経済の再生に効果があることは言うまでもなく、厳しい県の財政状況の中で、蒲島県政が目指すくまもとの夢4カ年戦略の推進に大いに貢献することは間違いないわけであります。そして、その効果をより確実なものにしていくためには、県として経済対策に早急に取り組むことが最も重要であると思います。
 そこで、これまでの経済対策の進捗状況と具体的な事例を含めた効果について質問をいたします。幅広い分野での取り組みが行われていますので、代表的な幾つかの分野について、担当部長にお尋ねしたいと思います。
 まず、公共事業の発注状況、地場産業への発注状況、今後の見込みについて土木部長へ、次に、農林水産業の振興に向けた取り組みについて農林水産部長に、次に、太陽光発電普及日本一に向けた取り組み及び雇用対策の取り組みの状況について商工観光労働部長に、最後に、特別養護老人ホームなど介護施設等の整備、介護職員の処遇改善の状況について健康福祉部長に、それぞれお尋ねをいたします。

答弁:松永卓 土木部長

 農林水産部及び土木部所管の公共事業の発注状況につきましては、平成20年度2月補正予算及び平成21年度当初予算などの計1,000億円のうち、その80%の約800億円に相当する工事等について、現在、契約済みあるいは入札の手続を行っているところでございます。
 また、県としては、これまでも地元建設業者でできる工事はすべて地元に発注するという考え方を基本に取り組んでおり、本県の地元発注率は、九州各県の中でもトップクラスにあります。本年度の9月10日までの実績では、昨年度と比較するとわずかながら上昇しており、件数ベースで98%、金額ベースで93%となっております。
 さらに、その後の補正で追加しました経済対策関係を含めた下半期発注額約520億円につきましても、地元発注を基本に着実な実施に努めてまいります。
 なお、具体的な成果としましては、これまで懸案であった床上浸水が頻発する地域におけるポンプ場の整備着手や橋梁の耐震化の前倒しのほか、県立学校における耐震化率の64.3%から80.5%への大幅な改善などが挙げられるところでございます。

答弁:廣田大作 農林水産部長

 農林水産部におきましては、くまもとの宝、農林水産業の活性化を図るため、約172億円を経済対策として予算化いたしました。
 その進捗状況について主なものを挙げますと、農業分野に関しましては、まず、県産食肉の販路拡大などを目的とした食肉輸出認定施設整備につきまして、既に着工しております。また、熊本ミカン・デコポンのブランド力の向上に必要な選果場の整備や光センサー選果機器の導入につきましては、一部が既に運用を始めております。
 このほか、カントリーエレベーターの再整備やお茶の加工施設・機械整備促進、さらには、この9月からは、小中学校の給食への県産米粉パンの導入拡大もスタートしております。
 林業分野では、林業の再生を目指し、基幹作業道の整備や高性能林業機械の導入については、既に一部で着手しております。また、住宅を新築される方々へ県産木材と畳表を提供する地産地消の取り組みにも、多くの申請が寄せられております。
 水産業分野では、漁業生産基盤の整備のための魚礁の設置は10月に、ノリ養殖の協業化のための乾燥施設整備も、11月には竣工を予定しております。
 農林水産物は、天候に左右され、生産や栽培の時期が限られておりますので、効果発現時期を逸することがないよう、早期実施に努めてまいります。
 経済対策で措置した予算は、農林水産業の生産基盤強化や農林水産物の販売力の向上を目的に、2万戸を超える農林漁業者に直接的な効果をもたらすことができると考えております。

答弁:中川芳昭 商工観光労働部長

 県では、ソーラー関連産業を半導体、自動車に次ぐ新たな産業の柱として育成することを目指し、庁内にくまもとソーラープロジェクトチームを設置いたしました。
 あわせて、6月補正におきましては、国の経済危機対策を活用し、住宅・事業所向けの助成制度を創設いたしました。
 特に住宅向けの補助は、当初年間1,400件の申請を見込んでおりましたが、予想を上回る申請があり、8月下旬の知事専決処分で予算の追加措置を行うとともに、9月議会でもさらなる追加の補正予算を提案しております。
 住宅向けのソーラー設置申請件数は、8月末時点で既に昨年の実績1,270件を上回っており、これに伴い、県内ソーラー関連企業の受注も大きく増加するなど、高い経済効果が生じるものと認識しております。
 次に、雇用対策の取り組み状況についてでございますが、継続雇用を促すふるさと雇用再生特別基金事業につきましては、10月末までに当初計画数を超える624人の雇用を創出する見込みです。
 また、つなぎ雇用を行う緊急雇用創出基金事業につきましては、6月議会で基金の積み増しをし、さらなる事業の追加を庁内及び市町村に求めた結果、10月末までには約2,700人の雇用を創出する見込みとなっております。
 なお、これらの基金事業の実施に当たっては、例えば、介護施設などの職員の確保や、地域農業の担い手の確保、育成を図るための実践研修など、今後成長が見込まれる分野や人材が不足している分野へ重点化を図ることで、将来の県勢浮揚につながるものと期待しております。

答弁:森枝敏郎 健康福祉部長

 介護施設等の整備については、現時点で、既存の計画と経済危機対策に伴う上乗せ整備分を合わせて、特別養護老人ホーム990床、認知症高齢者グループホーム649床など、平成21年度中に1,780床、平成23年度までに約4,200床の施設・居住系サービスの整備を予定しております。
 また、長崎県や群馬県で発生しました介護施設等の火災により多数の犠牲者を出したことから、緊急対応が求められている介護施設等のスプリンクラー整備につきましても、既に152施設から要望が出されております。
 次に、介護職員の処遇改善についてでございますが、8月21日に介護職員の賃金改善に取り組む事業者に対して説明会を開催したところ、約800の対象事業者のうち、600余りの事業者の出席がございました。
 既に9月1日から申請を受け付けており、10月のサービス提供分からを対象に、12月の介護報酬の支払いにあわせて、交付を開始することとしております。
 これにより、介護職員の賃金アップという直接的な効果はもとより、介護職員の雇用環境の改善や将来の人材確保にもつながるものと考えております。

質問:馬場せいし

 各部長に御答弁いただきましたけれども、民間を巻き込んで事業がかなり進んできていることが確認できました。経済効果にしろ事業効果にしろ、これから着実に出てくるというふうに思っております。
 土木部長の答弁にありました事業のほかにも、地元の要望を踏まえて取り組まれた事業で、渋滞の解消などを目的とした交差点改良、中山間地における1.5車線道路の道路改良など、さまざまな事業について効果が上がっているとの声を伺っております。
 また、県内における建設業者の倒産件数は、昨年度は76件でしたが、今年度の8月までは15件と大きく減少しています。これは、緊急保証制度などの金融支援によるところが大きいというふうに思っています。しかしながら、幾ら金融支援を実施しても、今後発注工事がなければ企業の借入金がふえるだけで、結局は倒産が増加し、失業率が高くなることになります。
 本県の産業構造からしますと、公共事業は地域経済や雇用などを下支えする重要な役割を担っております。景気回復に向けて、引き続き、本年度事業の発注を切れ目なく、かつ迅速に進めていただきますようお願いを申し上げます。
 ただし、今後の国の施策展開を考えていくと、建設業の異業種参入等の構造転換が必要でありますが、現時点では、努力はされておりますけれども、思うようには運んでいないのが実情であります。この点についてもさらなる支援をお願いいたします。
 また、農林水産部長の答弁にありました熊本畜産流通センターの整備については、今後の運営に当たって、建設にもともと大きな金額がかかっておったようで、屠畜料金の値上げ等も検討されていたわけでありますけれども、景気対策のおかげで、この屠畜料金の値上げというものもせずに済むというふうに聞いております。施設完成後は、熊本産の牛肉、豚肉が海外にも輸出され、国内外での評価が高まることを期待しているところです。
 県産米粉パンの学校給食への導入については、水田の有効利用と地産地消や食糧自給率向上につながる取り組みであり、子供たちにも好評であると聞いております。これでまた米の消費が拡大していくといいなということであります。
 また、林業整備促進や林業再生の基金などには、民間事業者、現場から、事業実施に対する要望が相当強く、ぜひ来年も継続してくれと、期待しているといった声も多く出ていると聞いております。
 このように、県民が身近に効果を感じられる取り組みを今後とも推進していただきますようお願いを申し上げます。
 それから、商工観光労働部長の答弁にありました太陽光発電普及日本一に向けた取り組みは、住宅用及び事業所用の導入補助に申し込みが殺到しているということでした。太陽光発電は、環境に優しく、地場企業の受注拡大にも大いに貢献するものであり、さらなる普及拡大に向けた取り組みをお願いいたします。
 また、雇用対策についてですが、景気が回復するまでの間、公的な部門を含めて雇用をふやして失業者を受け入れることが、行政の最優先の課題であります。すべての部局において雇用創出の取り組みをしっかりやっていただきたいと思います。
 健康福祉部長の答弁にありました介護施設等の整備については、早急に実施していくべきものと思います。特に市町村が整備する小規模の施設等については、経済危機対策に伴って、通常の補助制度から、県の基金を通じて助成する方法に変更されたものでありまして、いわばこれは、経済危機対策にかかわらず本来予定されていたものであります。それが凍結されたりおくれたりすれば、市町村行政や関係者に大きな混乱を引き起こすことが危惧されます。
 介護職員の処遇改善については、既に介護事業者を対象に手続が始まっており、介護職員の方々には、賃金引き上げへの大きな期待が広がっていることと思います。これが凍結されれば、介護事業界全体にとって大きなマイナスになるものと考えます。
 こうした状況を踏まえた上で、知事にお尋ねをいたします。
 政権がかわっても、地方財政が危機的な状況にあり、地域経済もいまだ低迷からの脱出にあえいでいる地方の実情を見れば、地方が必死に取り組んでいるこの経済対策をストップさせるような補正予算の凍結はあってはならないと考えております。
 今後、原則として3年間で計画的に実施していく総額330億円の基金事業も含めて、的確な経済対策を継続していく必要があると思っておりますが、どのようにお考えか、お尋ねをいたします。

答弁:蒲島郁夫 知事

 一連の経済対策は、100年に1度と言われている世界同時不況により、深刻な影響を受けている県内の景気・雇用情勢を一刻も早く回復させたいとの思いで取り組んだものであります。その必要性は論をまちません。
 また、経済対策の実施に際しては、地方の厳しい財政状況が考慮され、新たに経済危機対策臨時交付金などが設けられました。このため、財政再建との整合を図りつつ、地域経済の再生のみならず、くまもとの夢の実現につながる事業への重点化を図ることができました。
 先月公表されました日銀の金融経済概観では、県内景気は緩やかに持ち直しているとされています。その要因としては、国や県などの経済対策の効果があらわれてきているものと考えております。例えば、公共工事請負金額の伸びが前年同月比プラス約32%となっていることや、半導体産業などの減産が持ち直しつつあることなどが挙げられます。
 しかし一方で、有効求人倍率は過去最低が続いております。そのことは、県内の景気、雇用の先行きは依然不透明であることを示しています。県としては、切れ目のない経済対策を実施し、景気、雇用の回復を確かなものにすることが必要と考え、今定例会に、基金事業を中心に、約176億円のさらなる経済対策予算を提案しております。
 県として、経済対策関連予算を着実に、かつ早期に実行していく覚悟であります。国に対しては、あらゆる機会をとらえて、県や市町村など、地方にとって必要な経済対策が滞りなく実施できるよう、適切な対応を求めていきたいと考えています。

質問:馬場せいし

 知事から、経済対策の必要性について、熊本経済の現状を踏まえた力強い答弁をいただきました。
 九州各県からも、返還を求められた場合は法的措置も辞さないといった声も出ております。これは補正予算の返還を求められた場合はです。議会としても、今後の動きによっては行動を起こすべきと考えておりますし、知事も、あらゆる機会をとらえて強く訴えていただきたいというふうに思います。
 次に、ガソリン税などの暫定税率廃止に伴う影響についてお尋ねをいたします。
 今回の民主党マニフェストでは、ガソリン税などの暫定税率を廃止し、国、地方合わせて約2兆5,000億円もの減税を図ることとされております。
 ガソリンが安くなれば個人にとってはうれしいことでありますが、一方で、暫定税率が廃止されることにより、国ではガソリン税等3兆3,000億円が1兆6,000億円に、また、地方でも軽油引取税等1兆7,000億円が9,000億円に、税収がそれぞれ半減することとなります。私は、これまでの経緯や制度の成り立ちから、この2兆5,000億円の減収がすべて道路にしわ寄せされるのではないかと、非常に危機感を覚えております。
 先日共同通信が実施した全国知事アンケートにおいては、ガソリン税などの暫定税率廃止に、反対が20人、賛成が2人、どちらとも言えない、回答できないが25人となっておりました。ちなみに、蒲島知事は、制度の詳細がまだわからないということで回答を保留されたようでありますが、どちらとも言えない、回答できないとしている知事の多くも、地方財政への影響を心配されており、本音は当然反対であると推測しております。
 私は、本県など地方の道路整備はまだまだ不十分であり、全国的にも必要な道路整備が数多く残っていると思います。特に、本県の場合、九州内における求心力を高めるために欠かすことのできない九州横断自動車道延岡線、南九州西回り自動車道、中九州横断道路等、国直轄の幹線道路網の整備、さらには、平成23年春の九州新幹線の開業を控え、重点的に取り組んでいる連続立体交差事業、熊本駅周辺の道路整備等への多大な影響が生じると予想されます。
 今回の民主党マニフェストに沿って、ガソリン税などの半減、公共事業費の大幅削減、費用対効果のみを重視した大都市部の道路の優先整備など、地方の実情を無視した施策が実施されれば、地域が必要とする道路整備におくれが生じたり、最悪の場合、とまってしまうのではないかと憂慮しております。
 そこで、県では、ガソリン税などの暫定税率の廃止に伴う影響をどう考えているのか、土木部長にお尋ねします。

答弁:松永卓 土木部長

 新政権の方針が明らかになっていないため、詳細は不明でございますが、暫定税率が廃止されれば、国のガソリン税などの税収は半減します。その規模は、直轄事業を初め国庫補助事業など、国の道路関係予算の半分に相当いたします。
 この減収が国の道路関係予算の削減に直結した場合、国直轄の幹線道路網の整備やJR鹿児島本線の高架化など、熊本駅周辺の整備ばかりでなく、県民生活に密着した生活道路の整備や欠かすことのできない道路の維持補修など、本県にとって必要な道路整備に大きな影響が生じると懸念をしております。
 さらに、暫定税率を根拠とする地方財源が失われることになれば、本県では、軽油引取税などの県税がおおむね半減し、約90億円の減収となる見込みです。
 この減収分相当額を県の道路関係予算から削減した場合、維持管理を含むすべての道路事業を凍結したとしても、過去に発行した県債償還のために、約60億円もの一般財源が不足するという深刻な状況となります。この場合、道路などの社会基盤整備への影響にとどまらず、県政のあらゆる分野において多大な影響が生じることとなります。
 このため、国に対し、ガソリン税などの暫定税率を廃止する場合は、社会基盤の整備がおくれている地方の実情を踏まえ、道路整備を初めとする地方が真に必要とする事業が着実に実施できるよう、国の公共事業予算の確保並びに地方の代替財源の確保を強く訴えてまいります。

質問:馬場せいし

 計算の仕方はさまざまにあると思いますが、今わかっていることだけで算定すると、県だけでなく市町村の事業も道路整備予算はなくなってしまうのではないかというふうに思います。
 さらに、国直轄に関しても7兆9,000億円から1兆3,000億円、これは全体かもしれませんが、7.9兆円から1.3兆円削減するとマニフェストに記載してありますけれども、事業費全体には、これに地方負担分が加わります。その地方負担分は取らないともマニフェストに記載してあり、国直轄の総事業費は、先ほど部長の答弁の中にあった半減とは多分かぶらないと思いますが、また半分になるのではないかなというふうに私は思っております。さらに悪いということではないかというふうに思います。
 しかも、都会の事業が優先するということになれば、地方の道路事業は限りなくゼロに近づき、国、県、市町村とも道路整備事業がなくなってしまうと言っても過言ではありません。そればかりか、教育や福祉の分野にも食い込むことが予想されるということであります。
 どう考えても無理な上に、先ほどまで景気対策の話をしておりましたが、建設業の業種転換もできていない現段階で、どれだけの失業者が出るのか想像もできない状況であります。そのあおりは県経済に大きく影響することは間違いないわけでありますから、県経済が破綻しないように、国には、何らかの措置を講ずる必要があることをしっかりと、強く申し入れるようつけ加えさせていただきまして、次の質問に入らせていただきます。
 次に、今後の農業政策についてお尋ねをいたします。
 民主党のマニフェストにおいて、農業政策の目玉とも言えるのが戸別所得補償制度であると思います。
 この制度の仕組みは、一言で言えば、対象となる農産物の販売価格が生産費を下回る場合、国が販売農家に対しその差額を補償するというものであります。
 新制度の導入は、再来年の平成23年度からと言われており、現段階では制度の詳細がわかりませんが、基本的な方向性において幾つか懸念があります。
 まず、間違えていけないことは、戸別所得補償制度は、2年前の参議院選挙のときに提案されたものとは随分内容が変わってきており、補償を受けるためには、食糧自給率向上に向けた生産目標数量に従わなければならないとのことです。つまり、米を自由につくってよいということではなく、麦や大豆等についても生産義務が出てくるものと思われます。これまでの転作制度と何が違うのかというふうに思うわけであります。
 また、販売農家すべてを補償の対象とするとされておりますが、このことによって対象者が拡大し、兼業農家が土地を貸し出さなくなることにより、担い手農業者の経営拡大の支障となったり、集落営農の崩壊につながるのではないかと心配をしております。
 次に、財源問題であります。
 民主党は、米などの補償で1兆円を想定しているようですが、それで大丈夫なのか。財源が足りなくなったので、補償額を下げるなどといったことはあってはならないことです。ましてや、財源確保のために、米、麦、大豆等、補償対象品目以外の野菜や果樹に対する補助金を削減するようなことは絶対に許されないことであります。
 最後に、最も気になることですが、この政策とセットとなって、アメリカとのFTA交渉締結が進められるおそれがあることです。3党幹事長合意ではやらないとされておりますが、民主党の真意はわかりません。FTAが締結されれば農産物価格は下落し、補償額が激増することから、戸別所得補償制度自体が財源問題から崩壊するものと考えております。
 以上、戸別所得補償制度について懸念を申し上げましたが、農林水産部長は、この制度についてどのように考えておられるのか、お尋ねをいたします。

答弁:廣田大作 農林水産部長

 戸別所得補償制度に象徴されるように、国の食料・農業・農村政策は大きな転換期に直面していると感じております。
 戸別所得補償制度の仕組みがまだはっきりいたしませんので、現段階で明確なコメントはできませんが、ただ、新たに講じられる新制度は、農業者の意欲が高まり、安心して営農できるものでなければならないというふうに考えております。
 現段階で、生産現場の現状や農業者の方々の懸念という観点から、特に注視している事項は、まず、生産目標数量の設定と所得補償額の基準についてであります。主食用米のみならず、麦や大豆、さらには、本県が力を入れている非主食用米に対する補てんがどうなるのかであります。
 もう一点は、これまで進めてきた規模拡大や組織化など、水田経営における構造改革の行方についてです。新制度は、経営規模の大小にかかわらず販売農家を対象とするようであり、経営体質の強化を目指している本県農業にどのような影響が生じるのか、注視していく必要があると考えております。
 一方、戸別所得補償制度ばかりでなく、本県の主要農産物である施設園芸、果樹、畜産関係に関する具体的な支援策や、WTO農業交渉や日米FTAの動向にも留意する必要があると考えております。
 いずれにいたしましても、現段階では、戸別所得補償制度の内容がどのように設計されるのか不安な面もありますので、県といたしましては、本県の実情や農業者の声が的確に反映されるよう、必要に応じて国に具体的な提案を行ってまいります。

質問:馬場せいし

 随分慎重なお答えでありました。
 安心して営農できるようにということを期待するのは当然のことであります。必要に応じて働きかけていくという話もありましたけれども、決まりかけてから言うてもこれは間に合わぬわけであります。民主党は、やりかかったらとまらぬとですよ。
 あなたの頭の中に、今部長の頭にあるのは、どんな制度になっても、お上が言うてきたことを県内農業に反映させるだけということ、そういう意味ではないというふうに思いますけれども、それとも、農家に利益のある部分はいいとしても、不利益になるかもしれぬということには断固国に向かって発言していくということなのか、これがどっちなのか、はっきりもう一回。再質問です。

答弁:廣田大作 農林水産部長

 今後、農業者や農業団体の方々とも意見交換を行い、しっかりその意見を受けとめ、本県の実情や農業者の声が的確に反映されるよう、国に具体的な提案を行ってまいりたいというふうに考えております。
 本県の実情や農業者の声が的確に反映されるよう、国に具体的な提案を行ってまいりたいというふうに考えております。

質問:馬場せいし

 そこまでしか答えられぬのかというふうに思いますけれども、ただ、私だけでしょうか、部長の言葉の中に、2回目か3回目は、しっかりとした意思が感じられたというふうに受けとめてよございますでしょうかね。
 きょうの日本農業新聞でありますけれども「農地集積事業予算執行停止」というようなことで「揺れる生産現場」「集落合意水の泡」「経営効率化に支障」というようなことで、これは一つのことでありますけれども、こんなことがこれから幾つも出てくるというふうに思います。そのたびに、行政やあるいは事務的な仕事を毎日されている方であれば、そのたびに対応できるかもしれません。しかし、農家の方々がそれに一つ一つ対応ができるかというと、もう何回も――例えば植えつけの時期を逸してしまったりだとか、例えば、今まで約束ができとったことが、相手が守ってくれない、また自分も守りたくないというようなことが出てきて、しかし、話がまとまりかけたのが1回チャラになって、やっぱりもとの制度に戻すばいと言われても、そのときはもう話はできぬわけであります。ですから、そういったことに関しては、本当に混乱がないようにしっかりとやっていただかなければならない。
 国の様子をうかがうということであれば、これは県の農林水産部の存在意義にかかわることだというふうに思っておりますので、その気持ちはしっかりとあられるというふうに信じておりますので、しっかりと頑張っていただきますようにお願いを申し上げて、次の質問に入らせていただきます。
 昨年の9月議会において、蒲島知事は、現行の川辺川ダム建設計画の白紙撤回を表明されました。しかし、知事は、具体的にその代替案を示さないまま国に対応を求めたため、河川環境に対する影響や住民の安全確保、経済性等が不透明なことから、本当にダムによらない治水対策が実現可能なのか判断できないとして、我々県議会は、予断を持たず、球磨川を守るべき宝と位置づけ、最大限の環境的配慮と最大限の住民の安全が両立する、より経済的な球磨川流域の治水対策案を速やかに提示されるよう国に意見書を提出しました。
 その後、当時の金子国土交通大臣は、知事の訪問の際、ダムによらない治水を検討する場の設置を提案し、現在、国、県、流域市町村一体となって、検討が進められている状況であります。
 我々自民党は、ダムによらない治水が現実的に可能で、より経済的で、一日も早く安全な治水対策が行えるのであれば、必ずしもダムに固執しているわけではありません。ですから我々は、この治水を検討する場の議論を辛抱強く待ち、その結論を待って最終的な判断をすべきと考えておりました。
 そんな中、前原国土交通大臣は、川辺川ダムの中止を一方的に明言しました。確かに、民主党のマニフェストには中止と書かれていたわけでありますが、それにかわる治水案は示されていません。
 前原大臣は、地元の議論を尊重した上で、どういった代替案があり得るか検討するとも言われているようですが、民主党のある幹部は、地元協議の内容は承るが、見守るわけではない、時間がかかり過ぎると言い切ったとされております。これは、趣旨というか、内容が少し違うかもしれませんが、ただその姿勢というものは同じであろうかというふうに思います。
 もし仮に、代替案も示さずに、単に中止ということであれば、洪水の危険からどうやって住民の安全を確保するのか。大型直轄事業イコール悪玉論だけでダム中止の結論を出すのは、河川管理の責任者として、住民の安全確保の点からも問題があると思います。
 近年、地球温暖化等の影響もあり、ゲリラ豪雨が全国各地で多発しております。ことしの梅雨には、山口県や福岡県などで集中豪雨による大きな被害が発生しました。お隣の福岡県では、7月24日から26日にかけての3日間で総雨量500ミリを超える豪雨となり、がけ崩れなどで9名のとうとい命が失われ、床上・床下浸水は合わせて約4,800棟にも及び、県下全域にわたって、極めて広範かつ甚大な被害が発生しました。このような豪雨がいつ本県で発生してもおかしくない状況にあります。
 いつまでこんな話をしなくてはならないのでしょうか。この福岡や鹿児島、山口の話だけではなくて、これまでもう幾つもこういった話をさせていただきました。何かあってからでは間に合わないということも何度も申し上げさせていただきました。
 知事は、くまもとの夢4カ年戦略の中でも、安全、安心で住みやすい社会を掲げられています。しかし流域住民は、いつ起こるかわからない洪水の恐怖におびえながら今も暮らしている状況であり、一日も早い流域住民の安全確保が待たれるところであります。
 その声に耳を傾けない流域の一部の首長さんの意見には困惑するところでありますが、現在進められているダムによらない治水について早急に検討を進め、球磨川の治水対策について、どういう方策をとっていくのか示すことが必要だと考えます。
 今後の球磨川の治水についてどのように進めていくお考えか、知事の所見をお尋ねします。

答弁:蒲島郁夫 知事

 現在、球磨川の治水については、国、県、流域の市町村によるダムによらない治水を検討する場が持たれ、議論が進んでおります。
 私は、前大臣からこの検討する場の提案を受けました。その折、国、県、流域の市町村が協議する枠組みの中で、関係者が認識を共有し、その上で球磨川の治水が行われていくことは非常に意義深いことだと考えました。
 ただ、一日も早い安全、安心な暮らしを待っておられる方もおられます。そこで、中流、下流において実施されている河川改修など、すぐにできる対策は、検討の間であっても引き続き進めていくことを条件に、検討する場の設置に合意しました。
 前原大臣も、検討する場での議論やその設置の条件を引き続き尊重していかれるものと思っています。今週末の26日には、大臣みずからが川辺川ダムの現地を視察されるとのことなので、その際、直接に私がお会いし、国の考えをお聞きするとともに、地元の声を伝えてまいりたいと考えております。
 県としましても、ダムによらない治水の極限までの検討を、丁寧な中にもスピード感を持って取り組んでまいります。

質問:馬場せいし

 前原大臣は、明後日、あさっての川辺川ダムの現地視察に先立ち、きのう八ッ場ダムの現地視察に赴かれておりますが、大臣の中止ありきという専制的な対応に、地元の方々は猛反発を強めておられると聞いております。地元の反発を受けて、大臣は、建設中止に向けた法的手続を先送りするとの意向を表明されておりますが、当然のことだというふうに思います。
 最近は、治水の意味や、より安全を求める声というものは、すべての国民にはなかなか届かないようでありますけれども、そのような流域住民も多くおられるということを心にとめておいていただきたいというふうに思っております。
 また、前原大臣の中止発言により、再開された国の事業がよもや中断されることはないというふうに思いますが、明後日に知事が大臣に会われる際は、五木村の生活再建、振興についても、しっかりと申し入れ、確約を取りつけていただきたいと思います。
 次に、国と地方の協議の場の法制化についてお尋ねをいたします。
 国と地方の協議の場の法制化については、地方6団体がこれまで再三要請してきたにもかかわらず、実現ができなかった課題であります。
 今回の民主党のマニフェストには、国と地方の協議の場を法律に基づいて設置すると明記されており、去る9月9日には、地方6団体の代表と民主党の鳩山代表が会談を行われ、早期に法制化することに加え、法制化前においても協議を開始することで合意されたと聞いております。しかし、当初の政権公約では触れておらず、地方からの要請で急遽追加したもので、具体的な中身はまだこれからの状況であります。
 知事は、地方分権を進めるに当たって、まずは現在の条件の中で地方が努力することが大事であり、その際、越えられない国の壁に対して声を上げていくべきだというスタンスであることは承知をいたしております。
 しかし、この協議の場については、どのような役割や権限が付与されるのか、地方の代表はどのようにして選ばれるのかといった制度設計の議論はまだこれからであり、いかに地方の声が反映できるような制度とするのか、県としても声を上げていく必要があるのではないかと思います。
 さらに、地方の不安、例えば補正予算の一部凍結、または暫定税率の廃止など、地方財政への影響が懸念される事柄に対しても、時期を逸することなく本県も声を上げていく必要があり、知事もしっかり対応していただきたいと考えております。
 そこで、国と地方の協議の場の法制化について、知事がどのように考えておられるのか、お尋ねをします。

答弁:蒲島郁夫 知事

 国と地方の協議の場の法制化についてですが、今後新設される協議の場は、これまでのような国が地方の声を聞くだけの形式的な場でなく、国と地方が対等に話し合い、政策を決定していく場としなければなりません。
 そのためには、国が法律に基づいて設置するまで待つのではなく、法制化に向けた検討の段階から、どのような権限や役割を地方に与えるかなど、制度の内容について地方の意見をしっかりと反映させていくことが重要だと考えています。
 今後、協議の場が地方の声を確実に反映できる制度となるよう、私自身も国に強く働きかけていきたいと考えています。
 さらに、設置された協議の場は、地方がリードしていくことが肝要です。本県としても、地方の実情を踏まえた政策提言を積極的に行ってまいります。

質問:馬場せいし

 地方の声といっても、東京などの都市部、また北海道から沖縄のように北から南、あるいは日本海、太平洋側、さまざまな声があるというふうに思います。そんな中で、一地域の問題は、例えば知事会などの全体の意見とは関係ないような状況が出てくることもあります。そういうことになると、全体としての意見と合わない地域については、一くくりにされることが逆にマイナスになることもあると。これはちょっと余りにも心配が先に立ってしまうかもしれませんが、法制化の内容次第では、本当に地方の声というか、個別の地方の声というところまで言いたいぐらいでありますけれども、反映できる制度になるのか、後になって取り返しがつかない事態にならないよう、また執行部におかれては敏感に対応されたいというふうに思います。
 今の話は、前に出ろと言うたり余り出るなというような、何か矛盾した話でもあるかもしれませんが、本当にやっぱり心配するところでありますので、その辺はしっかりとやっていただきたいというふうに思います。
 次に、政令指定都市移行に伴う事務権限移譲についてお尋ねをいたします。
 熊本市と城南町、植木町の合併については、今定例会の開会日に、平成22年3月23日の合併に向けた廃置分合議案を議決したところでありますが、この2町が合併することにより、熊本市の人口は約73万人となり、合併特例による政令市移行の人口要件を満たすことになります。
 このことから、熊本市では、合併から2年後の平成24年4月1日の政令市移行を目標とし、ことし7月、市長を本部長とする熊本市政令市推進本部が設置されました。その後、さきに申し上げた今定例会の議決を受け、9月の熊本市議会において、熊本市行政区画等審議会を新たに設置する条例の改正や関連予算等の補正予算が議決されるなど、政令市に向けた準備もいよいよ本格化されてきました。
 知事はこれまで、熊本市の政令市実現は、熊本の100年後を見据えた大きな布石であり、発展の礎となる最後のチャンスであるとの思いから、知事選挙のマニフェストの柱に据えるとともに、知事就任後も強く訴え続けてこられました。
 いよいよその政令市の実現も現実味を増してきたわけでありますが、今後政令市への移行を進める上で重要な課題の一つに、県から熊本市への事務権限の移譲が挙げられます。
 本年2月に、道州制問題等調査特別委員会の視察で、静岡県、静岡市及び浜松市を訪問しましたが、県が政令市移行を積極的に応援して、また、市への権限移譲にも熱心に取り組まれたと伺いました。また、ことし4月に政令市に移行した岡山市においても、県と市の協議により、全部で約1,500項目の事務が移譲されております。
 私は、政令市移行に伴う事務権限の移譲については、政令市効果を最大限に発揮できるよう、広域的な視点で県が取り組む必要があるものを除き、積極的に市に移譲すべきと考えております。
 その権限移譲を進めるに当たっては、県、市双方において大きな政策判断や政治判断を伴うものもあり、権限を渡す県と受け取る熊本市の連携が大変重要になると思います。そのため、できるだけ早い段階で市との協議をスタートさせ、誤りなきを期すべきと考えます。
 そこで、事務権限移譲を進めるに当たっての県の基本的なスタンスと今後どのように取り組んでいかれるのか、知事にお尋ねをいたします。

答弁:蒲島郁夫 知事

 今回の合併は、その後の政令市、さらにはその先の道州制の州都実現と、県民が夢に向かって進んでいくための歴史的な第一歩であると考えています。
 私は、地方のことは地方の責任で決定し実行するという考えを基本に、地方分権や権限移譲の推進を国に対して求めてまいりました。
 同様に、県から政令市に対する権限移譲に対しましても、地域のまちづくりや住民サービスに密着した事務は、基礎的自治体である政令市が担うべきであると考えております。
 このような基本認識に立ち、法令で移譲が義務づけられているものに限らず、任意の判断で移譲することが可能な事務についても可能な限り移譲する方向で、現在具体的事務の洗い出し作業を行っております。
 移譲に当たっては、任意に移譲する事務や県単独助成事業の取り扱い、さらには、財源、人員の問題など、整理すべきさまざまな課題があります。
 しかしながら、県、市双方が、住民の利益を第一に、お互いが納得した上で円滑に移譲を進めていくことが必要と考えています。
 そのため、今定例会終了後、速やかに部局長クラスによる県・市連絡会議を設置し、熊本市との連携を図りながら、具体的な協議を進めてまいりたいと考えております。
 このような取り組みにより、新しい熊本市が、権限移譲の効果を最大限に発揮し、活力、誇り、品格を兼ね備えた政令市として発展することを期待しております。

質問:馬場せいし

 ただいま知事から、議会終了後すぐに県・市連絡協議会を設置するとの答弁がありました。
 県、市が連携し、スムーズな事務権限移譲に向けて、しっかりと取り組んでいただきたいというふうにお願いをさせていただきます。
 次に、ドクターヘリの導入についてお尋ねをいたします。
 医師などを乗せ、重症患者の治療を短時間で開始できるドクターヘリの導入については、これまで我が党の守田議員、森議員、公明党の氷室議員も質問しておられますが、今回改めてお伺いいたします。
 まず、この場をおかりして、24時間、昼夜を問わず救急医療に携わっておられる皆様に、敬意と感謝の意を表したいと思います。
 さて、本県は、熊本市内を中心に、脳卒中などの医療連携が全国的にも進んでいると言われておりますが、救急患者の治療を担う救命救急センターや大学病院など3次医療機関は熊本市内に集中し、熊本市以外の地域では、医師不足などにより、救急医療体制の維持が難しい状況になってきております。
 このため、熊本市以外で救急患者が発生した場合は、熊本市への搬送が必要になってきますが、遠くになればなるほど、特に阿蘇や天草地域などでは、患者の搬送に時間を要することが大きな問題となっています。
 現在、熊本県では、防災消防ヘリ「ひばり」が遠隔地からの重症患者の搬送を担っており、平成20年度には、全運航回数339回のうち85%に当たる288回の救急運航を行うなど、防災消防ヘリとしては、全国でもトップレベルの救急活動を行っております。
 しかし近年、出動要請が年々増加し、重複することもあるということですし、また、機体整備期間中は出動できません。このような状況に対応するためには、救急医療に特化したドクターヘリが必要ではないかと思われます。
 ヘリの導入には財政負担という課題もありますが、国では、熊本県選出の木村参議院議員が事務局長を務めておられる超党派のドクターヘリ推進議員連盟の決議がきっかけとなり、本年3月、ドクターヘリ経費の自治体負担分の半分を特別交付税で措置するように省令が改正されたと聞いております。
 知事も、ドクターヘリの導入をマニフェストに掲げられており、昨年12月には救急医療のあり方を検討する専門委員会を設置され、ドクターヘリについても本格的な検討が進んでいるものと思います。
 本県財政も厳しい状況ではありますが、ドクターヘリの導入について、お考えを知事にお尋ねします。

答弁:蒲島郁夫 知事

 ドクターヘリの導入については、私のマニフェストで約束しております。そこで、熊本県救急医療専門委員会で、昨年12月から本年8月にかけて審議していただきました。
 その中で、3つの合意が見られました。第1は、熊本市の救命救急センターまでの重症患者の搬送時間について地域間格差が大きいことから、ドクターヘリの導入が必要であること、第2に、導入に当たっては、ヘリに搭乗する救急医の確保を初め受け入れる医療機関の体制整備を図ること、第3に、本県の防災消防ヘリ「ひばり」の搬送実績を高く評価した上で、この活動を生かした形でのドクターヘリの導入が望ましいとの意見で一致しました。
 県といたしましては、こうした委員会の意見や関係医療機関からも一定の理解を得られたことを踏まえ、ドクターヘリの導入に向け、諸準備を進めることとしました。
 具体的には、救急医を初めとした医療スタッフの確保や養成、施設の整備など、必要な体制整備を進め、平成23年度のドクターヘリ運用開始を目指してまいります。
 県としては、遠隔地からの搬送や救助活動に力を発揮する防災消防ヘリと、現場での迅速な医療対応に力を発揮するドクターヘリが、それぞれの特性を生かし、連携する熊本型のヘリ救急搬送体制の構築を目指してまいります。
 また、あわせて、中軽症の傷病者に対応する地域の救急医療体制の整備にも引き続き取り組んでまいります。

質問:馬場せいし

 ドクターヘリが導入された場合には、防災消防ヘリとの連携をしっかりととっていただき、一人でも多くのとうとい人命を救っていただきますようにお願いを申し上げます。
 次に、新型インフルエンザです。
 新型インフルエンザは、瞬く間に世界じゅうに広がりを見せ、WHOは、既に6月12日には、世界的大流行を意味するフェーズ6を宣言しております。
 我が国においても、夏場にもかかわらず感染が拡大しており、呼吸器疾患等持病のある方などが重篤化し、死亡されたケースがニュースとして伝えられるなど、県民の不安も高まっているように感じます。
 しかし、今回の新型インフルエンザは、国が想定していた強毒性のものではなく、治療薬タミフル、リレンザが有効ということもわかっております。そのため、これまでの季節性のインフルエンザと同様、県民一人一人が、マスクの使用、手洗いやうがいなど、予防をしっかり行うこと、そして、もしかかった場合には、的確な治療が受けられるように体制を整備しておくことが大事だと思います。
 国においては、予防の周知や医療体制の整備などに力を入れるとともに、最近では、大流行に備えたワクチンの製造や優先接種の問題に取り組んでいます。
 県においても、医療関係者などと連携して、各分野で大流行に備えた取り組みを進めていると思いますが、学級閉鎖も出始め、大流行がそこまで来ていると言われる中で、備えが大丈夫なのか気になるところであります。
 そこで、県内の感染状況と今後の見込み、優先予防接種の対象者数把握はできているのかなど、県の新型インフルエンザ対策の現状について、健康福祉部長にお尋ねをいたします。

答弁:森枝敏郎 健康福祉部長

 まず、新型インフルエンザの感染の状況についてでございますが、世界的には、9月6日現在で、WHOにより、27万人を超える患者が確認されております。我が国においては、8月中旬に患者が一定数を超えたことから、厚生労働省が国内流行宣言を行っております。また、本県においても、9月1日に知事が県内流行宣言を行い、改めて県民の皆様に注意喚起を行ったところでございます。
 次に、今後の見込みについてでございますが、ほとんどの方が新型インフルエンザの免疫を有しておられないことから、10%前後の方が罹患する季節性インフルエンザを上回る規模で感染が拡大する可能性があります。8月末に国が示した流行のシナリオによりますと、人口の20%、最大30%が罹患するとされております。本県に置きかえますと、20%の場合、約36万人が感染し、1日当たり最大約680人が入院、30%の場合、約55万人が感染し、1日当たり最大約1,000人の方が入院を要する状態になることが見込まれております。
 そのため、県としましては、関係機関と協議の上、原則としてすべての医療機関における診療を可能としているほか、特に妊婦の方に配慮し、国のスキームにはない、かかりつけ産婦人科医での受診を可能としております。
 また、入院が見込まれる1日最大約1,000人の患者と重症化が懸念される1日最大約100人の患者の方に対応するため、必要な病床と人工呼吸器の確保に向けて、準備をおおむね順調に進めております。
 タミフル等の抗インフルエンザウイルス薬についても、既に約71万人分を備蓄しております。
 また、ワクチン接種については、国が医師会等に委託する形で実施することが予定されておりますが、接種対象者の具体的要件など詳細については、9月末ごろに明らかにするとされているところでございます。県といたしましては、要件が決定され次第速やかにワクチン接種が開始できるよう、想定される優先接種対象者数の把握を進めております。
 今後とも、県民の皆様の健康被害をできる限り少なくするため、引き続き情報提供に努めるとともに、市町村や医師会等と連携し、新型インフルエンザ対策を推進してまいる所存でございます。

質問:馬場せいし

 今健康福祉部長から御答弁をいただきました。
 不幸なニュースが毎日出ておりますので、そういったことにならないように、しっかりと対応していただきたいというふうに思います。
 また、聞くところによりますと、アメリカでは、希望者には無料で接種するとのことでもあるようです。どこまでかはっきりはわかりませんけれども。
 国内での接種費用は今後どうなるのか、また、予防接種による健康被害が出たときの責任の所在はどうなるのかなど、実は本日お尋ねをしたかったところでありますけれども、国レベルのことでありますので、きょうは質問には入れませんでしたけれども、執行部には、県民の不安解消に向けて万全の対応をお願いしたいと思いますし、国に対しても、また実情をしっかりと――実情、対応状況というか、心配する部分をしっかりと訴えていっていただきたいというふうに思います。
 次に、薬物乱用問題に移ります。
 最近、県内でも、高校生が大麻の違法栽培で、また、高等学校教諭が覚せい剤の使用で検挙されるなど、まさかと思われるような身近なところで薬物乱用が行われており、極めて憂慮すべき状況にあります。
 薬物乱用を未然に防止するには、密売組織等に対する取り締まりの強化はもちろんですが、一方で、昨年県内の大麻事犯で検挙された34人のうち、8割が30歳未満であり、また、9割が初犯であるということからも、薬物乱用の恐ろしさについて、できるだけ早い時期から啓発教育を始めることが重要であると考えます。
 そこで、青少年に対する薬物乱用の啓発対策の現況と、特に小中高生に対する今後の対策について、健康福祉部長にお尋ねをいたします。

答弁:森枝敏郎 健康福祉部長

 近年、全国的に青少年を中心として大麻や合成麻薬MDMA等の乱用状況がうかがわれ、本県においても、大麻取締法や覚せい剤取締法の逮捕者が相次いだことはまことに憂慮すべき事態であり、喫緊の課題であると認識しております。
 県としましては、9月3日に、県警察等11の関係部署で構成する薬物乱用対策推進本部の幹事会を開催し、取り組みの強化を確認したところでございます。具体的には、1点目、小中高686校を対象に実施している薬物乱用防止教室を100%とすること、2点目に、全中学校で実施している青少年健全育成キャンペーンを高校にも拡大すること、3点目に、地域住民を交えて薬物乱用について話し合う地域対話集会を強化することなどでございます。
 また、本年度は、11月13日に、県立劇場において、麻薬・覚せい剤乱用防止運動くまもと大会を開催しますが、中高生にも参加を呼びかけることとしております。
 今後、関係の皆様方の御協力もいただきながら、薬物乱用を許さない社会の輪を広げ、健やかに安心して暮らせるくまもとの実現を目指してまいります。

質問:馬場せいし

 さまざまな対策を――対策というか、啓発を行っていただいておるというふうに思います。学校やまた警察関係者とも連携をとっていただいて、やっていただきたいというふうに思います。
 学校なんかで啓発の教室というか、そういったものも開かれると思いますが、今も協力していただいておるというふうに思いますけれども、やっぱり子供たちが聞くときも、警察官がそこにおられるとしっかり聞くというようなこともあるだろうというふうに思いますので、今も連携をとっていただいておると思いますけれども、またしっかりとやっていただきたいなというふうに思います。
 最後に、赤潮対策についてお尋ねをいたします。
 この夏、有明海と八代海で発生した赤潮は、7月上旬から8月中旬にかけてほぼ全域に拡大し、ブリやシマアジなど、養殖魚の大量死を引き起こしました。
 被害は、鹿児島、長崎、熊本の3県に及び、熊本県では、八代海の魚類養殖を中心として、62万匹、8億7,000万円の被害が出ており、平成に入ってから3番目という大きな被害となりました。
 赤潮被害は、ほぼ毎年出ており、近年は多発化、長期化の傾向があるようですが、今回は、さらに、八代海の広い範囲まで広がるという事態となり、大きな被害の発生につながりました。
 このような中で、県においては、発生当初から、被害状況の把握、地元市町や関係漁協との連携、死魚の処理など、スピード感のある対応をとっていただいたということで感謝を申し上げる次第であります。
 さて、養殖業者を取り巻く環境は、近年の餌料の高騰、魚価の低迷等で厳しい状況が続いており、経営体力は衰えております。その上に、昨年に続く今回の赤潮被害によって、極めて厳しい経営を余儀なくされているのではないかと心配しております。
 言うまでもなく、養殖業は、天草地域においては、若者を初め雇用の大切な受け皿ともなっており、水産業を支える大きな柱の一つでありますので、県としてもできる限りの支援が必要であると思います。
 そこで、改めて、今回の赤潮発生を受けて、県としてどう対応してきたのか、また、今後どのような対策を講じていくのか、隣県の鹿児島、長崎との関係も含め、農林水産部長にお尋ねをいたします。

答弁:廣田大作 農林水産部長

 今回の被害の原因となったシャットネラ属のプランクトンは、低密度で被害を与える極めて有害な種類ですが、効果的な対策がまだ実現できていない状況です。
 このような中、今回の赤潮発生を受け、県では、直ちに赤潮警報を発令し、えさどめなどの対策の徹底について指導を行いました。
 また、被害発生後は、部内に赤潮被害情報連絡会議を設置し、迅速かつ的確な状況の把握に努めながら、漁業共済制度による共済金の早期支払いを要請しました。また、各種制度資金が養殖業者の資金繰りに有効に活用されるよう、融資関係機関等への働きかけを行ってまいりました。
 こうした対策に加え、今定例県議会には、養殖業者の経営再開を支援するため、稚魚の購入などに必要な資金枠の確保と、その資金を被害状況により無利子化するための補正予算を提案しております。
 また、現在、県、市、漁業者が連携して実施している赤潮監視につきましては、今後、赤潮プランクトンを判別できる漁業者の育成などにより、早期発見と移動状況等を詳細に把握することができるよう努めてまいります。
 さらに、水産研究センターにおいて、効果的な防除技術の開発を今後の重点課題と位置づけ、超音波等で物理的に赤潮プランクトンを破壊する方法や、赤潮プランクトンをえさとする二枚貝の養殖を魚類養殖と複合的に行う方法等について、検討を行ってまいります。
 今後とも、赤潮発生の原因究明と根本的対策の開発、養殖共済制度の充実等について、鹿児島県、長崎県などと連携も図りながら、国に対して働きかけを行うなど、養殖業者の経営安定に向け精いっぱい努力してまいります。

質問:馬場せいし

 現在の技術では、赤潮の発生を防止、壊滅させることは難しいようでございますが、国と一緒になって発生メカニズムなどを研究し、成果を早く出していただきたいというふうに思います。
 また、漁業共済制度については、掛金負担が大きいという話も聞きますが、加入していただくことが一番のリスク回避となりますので、国や県からもまた補助も出ておりますので、養殖業者の皆様方には、これまで以上に積極的に活用していただきたいというふうに存じます。
 以上で予定しておりました質問は終了でございます。
 きょうは、政令市移行の準備というようなことの話もさせていただきましたけれども、質問とは別に、政令市の価値というか、そういったものを市民の皆さん方、県民の皆さん方からよく聞かれます。
 いつも私がお話しさせていただいておりますのは、行政が、国がするか、県がするか、市がするかというものは、市民の皆さん方には直接は余り関係ない。身近な行政であるかどうかという部分で、今回も、合併される側の町の皆さん方には、いろんな意味で苦しい思いもさせたかというふうに思いますけれども、そういった行政の問題というよりも、価値を上げることで今後の発展を目指すというようなことでありますが、市民の一人一人も、皆さん関係あるんですよという話をさせていただきます。
 それは、やっぱり政令市移行というニュースというか、ネームバリューですね。静岡では、株式会社に上場するのと同じだというような話がありましたけれども、これから合併して2年間政令市までの準備がかかりますけれども、それなら、政令市になってようなったら、そこから先たいというようなことを言われる方がいらっしゃいますけれども、私は、今の上場という言葉をキーワードとするならば、株というのは、投資家の皆さん方は、上がるだろうという株を上がる前に買うというのが投資家の考え方だろうというふうに思います。上がる前というのは、できるだけ安いうちに買うということであります。
 ですから、2年後は必ずよくなりますよというようなことを県外の皆さん方に、お一人お一人が発信していただいて、投資までは難しいかもしれませんけれども、一回何しろ熊本を見に来なはらんですかと言っていただきたいというような話をさせていただいております。
 飛行機に乗ってやってきていただいて、タクシーに乗って、どっかで昼御飯を食べたり、あるいはまた泊まっていただいたりというようなことの中で、既にもう経済効果はその時点でスタートするんだろうというふうに思います。雇用の問題もそこでぐるぐるっといい方に回っていく、それがどんどんどんどん積み上がって本当の政令市の意味が出てくるというふうに思っております。これは、市民、県民の皆様方にしっかりとまたお話をしていきたいというふうに思います。
 さて、新しい政権には、これはしっかりやっていただかないと困りますので、国民の一人としては私も期待したいところでありますけれども、一々気になりますのは、改革の中で血を流す部分がどれぐらい出てくるかということであります。痛みを感じても力のある人たちは生き残れるというふうに思いますけれども、それ以外の人たちはどうでしょうか。
 今はまだ、これまでの権力の近くにいる人だけが傷つき倒れていくイメージというものが大きいのではないかというふうに思いますけれども、少なくとも、その分権力に縁のなかった人たちにとっては、少なくともマイナスはないだろうというふうに思っておられる方がたくさんいらっしゃるかというふうに思います。しかしそれは、ある意味幻想でありまして、痛みは、すぐに気づくものと、どうしようもなく後になって気づくものとさまざまにあります。一生懸命に働いて、多くを望まない人たちに突然災いが訪れるようなことがあってはならないわけであります。
 景気の二番底という言葉はよく使われますけれども、二番底、何か単なる言葉になってしまって、本当にそういうことがあるかという危機感というものが最近足りなくなってきておるような気がいたします。でき得る限りのことをやって回避しなければなりません。
 これから政権交代による大きな変化の中で、地方行政と地方議会の使命は大変重いと感じております。我々は、県民が惑うことなく幸せな生活を送れるよう、県民主体で国に対応していくことを重ねて申し上げまして、自由民主党の代表質問を終わらせていただきます。

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