県議会一般質問

平成22年11月定例会

決算特別委員長報告:馬場せいし

 去る9月定例会において決算特別委員会に付託されました平成21年度熊本県一般会計歳入歳出決算、各特別会計歳入歳出決算及び病院事業会計決算並びに企業局3事業会計決算の認定に係る議案第17号から第37号までの審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 本委員会は、次のような審査方針のもとで、執行部の説明及び監査委員の意見を聴取しながら、慎重に審査を行いました。
 1 予算の執行は、議決の趣旨に沿って、合理的かつ効率的に行われ、所期の目的が達成されたか。
 (1) 歳入は適正に確保されたか。
 (2) 歳出の執行に遺憾な点はなかったか。
 (3) 主要な施策はいかに達成されたか。
 2 財産管理は十分であったか。
 3 執行体制に問題はなかったか。
 4 法令違反等はなかったか。
 5 前年度決算特別委員会の指摘事項はどのように処理されたか。
 以上が本委員会の審査方針であります。
 次に、決算の概要について申し上げます。
 まず、一般会計及び特別会計合わせて、歳入予算現額9,926億8,700万円余に対し、収入済み額は9,232億9,800万円余、また、歳出予算現額9,926億8,700万円余に対し、支出済み額は8,949億2,100万円余となっております。
 その結果、歳入歳出差し引き額は283億7,700万円余で、さらに翌年度へ繰り越すべき財源86億600万円余を差し引いた実質収支額は197億7,100万円余となっております。
 次に、病院事業会計では、総収益15億800万円余に対し、総費用は14億7,000万円余で、差し引き3,800万円余の純利益となっております。その結果、平成21年度末の累積欠損金は8億6,600万円余となっております。
 電気事業会計では、総収益20億2,200万円余に対し、総費用は21億7,100万円余で、差し引き1億4,800万円余の純損失となっております。
 工業用水道事業会計では、総収益7億8,000万円余に対し、総費用は9億9,800万円余で、差し引き2億1,700万円余の純損失となっております。その結果、平成21年度末の累積欠損金は81億8,500万円余となっております。
 有料駐車場事業会計では、総収益1億600万円余に対し、総費用は6,200万円余で、差し引き4,400万円余の純利益となっております。
 以上が決算の概要であります。
 次に、歳入確保と予算執行について申し上げます。
 まず、歳入確保については、県税や地方交付税等が減少し、財源確保が厳しい中、貴重な自主財源の収入未済が増加しています。このことから、集中審議を行い、施策目的達成のために、猶予せざるを得ぬ部分があるとしても、歳入を確保し、負担の公平、公正の観点から、個々の債権の実情に応じた具体的対策を講じ、全庁的に取り組むことなどを指摘したところであります。
 次に、予算の執行については、危機的な財政状況の中、おおむね所期の目的を達成したものと認められます。
 しかしながら、事務的経費の節減以外に不用額を出している事業も見受けられるので、限られた財源を効果的に活用し、必要な施策は着実に推進できるよう、予算の編成及びその執行に当たっては、現場の状況を十分把握し、さらに創意工夫をするように指摘したところであります。
 また、平成20年度に指摘した物品調達等に関する不適正な経理処理の再発防止策については十分浸透していない面もあり、今後も、職員の意識改革、研修の充実等に努め、一人一人が自覚を持つよう強く要請したところであります。
 なお、前年度までに指摘された事項について、十分な対応がなされていない部分も見受けられたので、今年度の指摘については、次年度予算編成等への反映も含め、しっかり対応していただくよう重ねて要望いたします。
 以上、21年度決算の全般的な事項について申し上げましたが、本県財政はいまだ危機的な状況にあり、加えて最近の円高等は景気の大きな下振れ要因となり、県内経済の動向は着実に持ち直しつつあると言われているものの、依然として厳しい状況で、歳入の大幅な増加は期待できません。
 一方、少子高齢化への対策を初め、景気・雇用対策、荒瀬ダムの撤去問題や環境問題等多くの課題を抱え、行政需要はますます増大していくものと予想されます。
 今後はさらに、財政再建とともに、くまもとの夢実現に向けて、歳入面では、税収の確保、資産の活用、未収金の早期解消等に努め、歳出面では、全庁的に一層の事務事業の見直しと重点化に取り組むよう求めるものであります。
 次に、審査の過程において各委員から出されました施策推進上改善または検討を要する事項について申し上げます。
 共通事項として、
 1 収入未済の解消については、例年の指摘にかかわらず、取り組みが不十分である。一部体制整備を図り、法的手続に移行するなど改善の跡も見受けられるものの、全体としては、債務者個々の状況把握など債権管理が不十分であると言わざるを得ず、歳入の確保、負担の公正、公平の観点から、今後さらに改善すべき問題である。取り組み方等を初め各部局が縦横連携を密にして、債権管理を徹底して徴収の強化を図るとともに、収納が見込めないものについては所要の措置を講じること。
 2 国で開発中の自動車保有関係手続のワンストップサービスシステムの管理経費等として相当額の負担金を支出しているが、いまだ国とのシステムの接続ができておらず、活用できない状況にある。
   県民の利便性に資するよう、適切な対策をとること。
 3 不適正経理の再発防止策については、職員の意識改革、資質向上への取り組み、物品調達・物品管理システムの構築など、4つの柱で25項目の取り組みがなされており、評価するものであるが、所属における取り組みに温度差が生じないよう、職員の法令遵守や会計・物品管理事務の研修など、再発防止策の実効性の確保にさらに努めること。
   なお、支払い漏れや支払い遅延など事務処理の誤りについては、職員への事務研修とあわせ、担当者に任せ切りにするのではなく、管理監督者による組織的なチェック体制の強化を図ること。
 (総務部)
 4 市町村で賦課徴収を行う個人県民税の滞納解消については、市町村職員を研修生として受け入れ、県職員と一緒になって滞納整理を行うなど、対策に取り組まれているが、滞納は減少していないことから、滞納額や滞納件数の多い市町村に対し、さらに強力に働きかける必要がある。市町村と連携をとって成果が出る取り組みを行うこと。
 (企画振興部)
 5 電子申請は年間1億6,000万円の運用経費がかかっているが、現在のアクセス件数では費用対効果が十分とれていない。電子申請は、行政コストの削減と県民の利便性向上が目的であることから、引き続き普及促進を図ること。
 (健康福祉部)
 6 特定疾患、いわゆる難病対策については、患者医療費負担の軽減等、県が実施する特定疾患治療研究事業に対する国の補助金が確保されず、県の超過負担が生じている。超過負担の解消に向け、引き続き国に働きかけること。
 (環境生活部)
 7 経理事務の知識の不足やチェック体制の不備などによる旅費や報償費の支払い漏れや支払い遅延について、組織として支払い手続やチェック体制の見直し等を徹底して行い、再発防止を図ること。
 8 有害鳥獣捕獲が実施されているものの、イノシシなど、けもの類による農林産物の被害が増大している。狩猟免許所持者が少なくなり、狩猟者も高齢化していることから、農林水産部と連携して効果的な被害対策を行うこと。
 (商工観光労働部)
 9 中小企業は厳しい経営環境にあり、中小企業振興資金など中小企業の資金需要に柔軟に対応する一方で、未収金の回収については、公平、公正の観点から、貸付先等の資金力や返済意思、将来の見通し等の確認や強制執行に係る判断基準を定めるなど、適宜適切な対策を講じること。
 (農林水産部)
 10 国営土地改良事業費負担金の収入未済額については年々増加しており、これまでの指摘にもかかわらず解消されていない。対象地区に対する営農指導による生産性、収益の向上や未納者に対する法的措置の強化など詳細な検討を行い、土地改良区に対し、具体的かつきめ細かな指導を行うこと。
   また、農業改良資金については、10月から貸付主体となった日本政府金融公庫と連携して、未収金が生じないよう、きめ細やかな指導を行うこと。
 11 熊本県林業公社の借入金残高が297億円と多額になっており、県では、熊本県林業公社の今後のあり方に関する報告書に基づき、経営改善の助言、指導等を行っているが、県単独での解決には無理があることから、引き続き経営改善に取り組むとともに、国の支援を求めていくこと。
 (土木部)
 12 数次にわたる経済対策と2月補正の経済対策を合わせた13カ月予算の関係から、約516億円の繰り越しがなされている。原因としては、地元住民や関係機関との調整に時間を要していることや用地取得の難航によるものということであるが、事業の繰り越しを少なくするため、計画的な用地取得や事業の進行管理の徹底に努めること。
 13 建設産業については、地域経済や雇用を支える重要なものであることも踏まえ、品質にすぐれた施工の確保に努めるとともに、建設産業の振興、支援を行うこと。
 (教育委員会)
 14 育英資金貸付金や地域改善対策高等学校等奨学資金貸付金等の未収金解消は、以前に比して一部改善されているが、滞納者の所在、就労の状況、返済の意思などについて徹底した調査を行い、それらの詳細な分析に基づき、具体的な未収金対策を講じること。
 (企業局)
 15 電気事業は、事業開始以来初めての営業損失を生じ、今後も収入の大幅な増加は期待できない。
   荒瀬ダム撤去に伴う約30億円の資金不足については、徹底したコスト縮減等企業局での自助努力を図るとともに、社会資本整備総合交付金の活用及び国への財政支援を強力に求め、その解消を図ること。
 16 車帰風力発電施設については、電力供給実績が計画の42%と低く、採算がとれない状況が続いている。具体的な改善措置をとるなど、スピード感を持って稼働率の向上に努めること。
 17 有明工業用水道事業につきましては、未売水の解消等の経営改善に努めているが、新たな企業立地がなく、赤字経営が継続し、工業用水道事業全体の累積欠損金が81億円の多額となっている状況である。
   今後、関係部局との連携強化を図り、工業用水需要の確保と徹底した経費削減に取り組むなど、抜本的な経営改善に努めること。
 (病院局)
 18 県立病院ということで、民間では受け入れが難しい処遇困難な患者も多く、安定的な医療体制を確立する必要があることから、熊本大学等との連携により常勤医師を確保するとともに、中堅医師やコメディカルを含めた医療マンパワーの養成に努めること。
 最後に、結論として、本委員会は、慎重に審査を重ねた結果、本委員会に付託されました平成21年度熊本県一般会計歳入歳出決算、各特別会計歳入歳出決算及び病院事業会計決算並びに企業局3事業会計決算の認定に係る議案第17号から第37号までにつきまして、全員賛成をもってそれぞれ原案のとおり認定することに決定いたしました。
 議員各位におかれましては、本委員会の決定のとおり御賛同賜りますようお願い申し上げまして、本委員会の審査の経過並びに結果についての報告を終わります。

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